次世代モビリティ・ロボティクス分野のスタートアップ支援プログラム、公募開始

2025年11月13日
(出典:合同会社DMM.com)

合同会社DMM.com(東京都港区)は、次世代モビリティ・ロボティクス領域に特化したクラスター「.make Mobility&Robotics(以下、MoRo)」の取り組みとして、同分野におけるスタートアップを対象とした支援プログラムを立ち上げ、2025年10月31日より公募を開始した。MoRoは、東京都が推進する「グローバルイノベーションに挑戦するクラスター創成事業(TIB CATAPULT)」に採択されており、本プログラムを通じてスタートアップとの共創を促進し、東京を起点とする世界水準の事業創出を目指している。

協働による社会実装を前提とした支援体制

この支援プログラムでは、資金援助やメンタリングといった一方的な支援にとどまらず、スタートアップの技術力とMoRoの保有するアセットを融合させることで、具体的な社会実装を目標とする協働体制を構築する。書類選考通過後、MoRo構成企業とスタートアップとの間で複数回にわたるディスカッションを実施し、社会実装に向けたプロジェクトを進行させる。

支援の流れ(出典:合同会社DMM.com)

募集概要

  • 募集期間:2025年10月31日(金)~11月30日(日)
  • 対象企業:自動運転、電動モビリティ、MaaS、ドローン、災害対応ロボット、医療・介護支援ロボットなど、次世代モビリティ・ロボティクス分野において、社会実装を目指すハード/ソフト/AI/データ分野のスタートアップ。「東京での事業展開実績、またはその意思がある法人。」「創業後概ね10年以内の企業で、高成長を志向していること。」「海外展開を視野に入れていること。」「反社会的勢力や公序良俗に反する事業体でないこと。」

応募はMoRo公式サイトのエントリーフォームより受け付けている。

  • MoRo WEBサイト:https://akiba.dmm.com/moro
  • エントリーフォーム:https://forms.gle/kf3fGgSjLZiPN5cd6

応募はMoRo公式サイトのエントリーフォームより受け付けている。
• MoRo WEBサイト:https://akiba.dmm.com/moro
• エントリーフォーム:https://forms.gle/kf3fGgSjLZiPN5cd6

WEBサイト(出典:合同会社DMM.com)
エントリーフォーム(MoRo応募)(出典:合同会社DMM.com)

提供される主な支援内容

  1. 資金調達支援
    • 採択企業には1社あたり約1,000万円の支援金を提供(MoRo構成企業との協働プロジェクト開始が条件)。
    • VCや事業会社による資金調達先の紹介・連携を支援。
  2. 社会実装支援
    • クラスター企業ネットワークを活用した大手企業・VCとのマッチング。
    • MoRoの設備・フィールドを活用したPoC、テストマーケティング支援。
  3. 技術・開発支援
    • 開発用PoCスペースの提供。
    • 「TIB FAB」を活用した実証機会の提供。
    • 技術メンタリングや資金・出口戦略に関する専門家による伴走支援。
  4. グローバル・PR支援
    • 導入事例の発信などによる広報支援。
    • 認証・法規制支援、販路開拓、ネットワーク構築を含む海外展開の支援。

支援の背景と目的

次世代モビリティおよびロボティクス分野は、現場ニーズの多様性と技術的・制度的課題の複雑さから、社会実装が困難とされている。DMMは、これまでのハードウェア・スタートアップ支援の実績と、MoRoを構成する企業・団体のネットワークを活かし、研究開発から実装、さらに海外展開までを一貫して支援するプラットフォームを構築した。

本プログラムを通じて、生活や産業の現場で機能する具体的なソリューションを共創し、国内外に向けた事業展開の加速を支援する。

MoRo(.make Mobility & Robotics)とは

MoRoは、DMMが創設した次世代モビリティ・ロボティクス分野に特化した産業クラスターである。各企業・団体の知見や技術を結集し、研究開発から社会実装、海外進出までを含む包括的なエコシステムの形成を目指す。

分野特有の課題(資金、人材、制度対応、販路開拓など)を統合的に支援し、製造・建設・医療・輸送・防災といった現場の課題解決に資するテクノロジーの社会実装を推進していく。

TIB CATAPULTについて

本支援は東京都が推進する「TIB CATAPULT」の一環である。同事業は、東京都内でのスタートアップによる産業横断的な挑戦を支援するものであり、3年間の協定期間内に20件以上の協働プロジェクト創出を目標としている。

詳細:https://TIBcatapult.metro.tokyo.lg.jp/

シェアラボ編集部コメント

DMM.comが立ち上げた次世代モビリティ・ロボティクスクラスター「MoRo」は、社会実装を見据えたハードウェアスタートアップ支援の中でも、実装力・資金力・ネットワークの三拍子が揃った注目の取り組みである。

特に3Dプリンター関連スタートアップにとって、MoRoプログラムは単なる助成金の枠を超え、「使ってもらえる現場」まで視野に入れた協働型の支援が提供される点に価値がある。医療・介護・インフラ・建設といった、3Dプリンターの応用可能性が高い分野が対象となっており、モックからプロトタイプ、さらには初期ロットの供給体制まで、PoCと並走する形で実行できる仕組みは希少だ。

また、DMM.makeのものづくり施設「TIB FAB」や、多様な専門家によるメンタリング体制は、製品化に向けた壁を超えるための環境として期待できる。国内で3Dプリンターを活用した製品開発に取り組むスタートアップや中小企業にとって、東京発の社会実装モデルの実現を目指すMoRoは、有力な足場となりうるだろう。

スタートアップの創意工夫と、大企業のアセットや販路を掛け合わせる「共創」によって、3Dプリンター技術が暮らしの現場でどのように定着していくのか、引き続き注視したい。

  • 用語解説
■ 社会実装(Social Implementation)
研究開発された技術や製品を、実際の社会・産業の現場で活用可能な形に落とし込み、実運用を行うこと。MoRoでは、スタートアップの技術を社会課題解決に役立てることを重視している。
■ PoC(Proof of Concept)
概念実証。新しい技術やサービスが実際に有効かどうかを、限定された環境で試験的に検証するプロセス。MoRoの支援では、スタートアップが保有する技術のPoC実施が重視されている。
■ TIB FAB(ティーアイビー・ファブ)
DMMが運営するものづくり拠点で、プロトタイプ製作や実証実験に対応するための機材やスペースを備えた施設。MoRo参加スタートアップに対して提供される支援リソースの一つ。
■ クラスター
特定分野における企業・研究機関・行政などが地理的・産業的に連携し、相互補完的な関係を築くことで、競争力や革新力を高める集団。MoRoはモビリティとロボティクスに特化したクラスターの一例。

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