リコーが廃プラスチックの一部をリサイクルし、3Dプリンターのプリント材料として活用する実証実験を開始
株式会社リコー(以下、リコー社)は、鎌倉市教育委員会と共同で、教育現場で出た廃プラスチックの一部をリサイクルし、3Dプリンターのプリント材料として活用する実証実験を開始した。児童・生徒へSDGsや脱炭素社会への理解促進を目指す。(画像はリコー社が考えるアサガオ鉢からの再生フィラメントを含むリサイクルの全体イメージ 出典:リコー社)
実証実験の概要
小学校の授業で児童が使用したプラスチック製のアサガオの鉢を回収し、リコー社が3Dプリンターのプリント素材となるフィラメントへの加工を行った上で、3Dプリンターが設置された中学校へ3Dプリントの素材として提供する。
提供した再生フィラメントは、中学校の美術の時間でのアート作品の制作や、技術の授業の教材など、さまざまな用途で活用される。
従来は廃棄されていたプラスチックを3Dプリントの素材として活用することで、プラスチックリサイクルの重要性を学ぶ。さらには、3Dプリントによって身の回りのものへ変換することで生徒へのアップサイクルとデジタル化への取り組みの後押しを行う。
現行の3Dプリント素材は輸入品が多数を占めている中で、材料においても値段以外の点で新たな高付加価値と地産地消の考えを促すという狙いもあるようだ。
実証実験に至った背景
今回の実証実験の背景には、リコー社がインテル株式会社(以下、インテル社)が主催する「STEAM Lab実証事業」のパートナー企業として参加している点が大きい。
STEAMとは科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)。アート(Art)、数学(Mathematics)の5つの領域を統合的に学習する教育理念をいう。STEAM Lab実証事業は、インテル社とパートナー企業が連携して、実証校におけるSTEAM Lab環境構築に必要な周辺機器・ソフトウェア等を提供し、STEAM教育のカリキュラム開発・実践をサポートするものだ。
2022年4月から2024年3月まで、STEAM Labの実証地域の一つとして鎌倉市が選定されており、リコー社は鎌倉市の公立中学校に3Dプリンターをはじめ必要な環境を提供している。
リコー社は、再生可能エネルギーの活用と、電力の地産地消を推進するための活動として、3Dプリンターを活用して製造した、小さい水流でも設置・発電可能なピコ水力発電システムのレンタルサービスと、再生エネルギーおよび再生プラスチックを学ぶワークショップサービス「LIFE PARTS」を提供してきた。今回の実証実験への参加は、リコー社の活動との親和性の高さも要因になったと考えられる。
今後の展開
今後は、小学校において、再生フィラメントで作製された水受けを使い、水力発電に使用する水車の組み立てから発電までの体験や、新興国とオンラインでつなぎ交流を行う講義の実施、各地での展開可能性が検討されている。
ShareLabNEWSではこれまで、学校や教育機関における3Dプリンターの活用事例を取り上げてきた。以下のリンクにまとめてあるので、ぜひご覧いただきたい。
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