2023年までに300隻の3Dプリントボートを生産する計画を発表-TANARUZ社
オランダのロッテルダムに拠点を置く3DプリントボートメーカーのTANARUZ社が2023年までに300隻の3Dプリントボートを生産する計画を発表した。
完全リサイクルポリマー製の3Dプリントボート
Tanaruz社の3Dプリントボートは、スイス・スウェーデンの多国籍電気機器メーカーABB社のロボットシステムに、オランダのXtrution社製の押出機が搭載された専用3Dプリンターで製造されている。ボートは全長4.5~10メートルの4種類のモデルがあり、全14メートルにもなる3Dプリンターが置かれているロッテルダムの工場でつくられる。
3Dプリンターに採用されているロボティック・トラックモーションシステムは、高速・高精度・柔軟性を備えた市場で唯一のものであり、Tanaruz社のさまざまなボートをロボットで3Dプリントするために最適なパラメータが設定されているとのこと。
Tanaruz社の3Dプリントボートはすべて再生・リサイクルされたポリマーで作られており、ボートの寿命が尽きたら、シュレッダーにかけて新しいボートを印刷するために再利用が可能だ。
完全にリサイクルされた素材を使用するため、材料費も廃棄物も極端に減らした状態でボートを作ることができるという。従来のボートは製造に手作業を必要とすることも多かった。Tanaruz社の3Dプリントボートは、材料費・人件費の2点で優れており、他社の同サイズのボートと比べ、安価に製造可能だ。現在のところ同社のエントリーモデルの価格は約15,000ユーロとなっている。
ボートとしての耐久性も問題はなく、特ガラス繊維を30%含む再生ポリプロピレンでプリントしたボートは、熱や火、化学物質への耐性に加え、最大5%の伸長歪みに対する弾力性など、望ましい機械的特性を備えているとのこと。
Tanaruz社の3Dプリントボートはカスタマイズ可能
Tanaruz社の3Dプリントボートは顧客がボートの色、インテリア、装備を選べ、オプションで電気モーター、バッテリー、ソーラーパネルの装備も可能だ。顧客は個人の好みや趣向に合わせたボート選びができる。
Tanaruz社の今後の計画
Tanaruz社は生産量を増やすことでさらなるコストダウンを図る。
同社は、今年約100隻のヨットを3Dプリントし、2023年までに300隻まで増やすことを目指している。現在、より多くの3Dプリンターを導入して生産量を増やすために、ロッテルダムの工場に続く2番目の拠点を開設する計画が進行中だ。
新施設では、2台のプリンターで1隻のヨットを同時に造形することを計画しており、10mを超えるヨットの造形が可能になる可能性があるとされている。
同社が生産規模を拡大するにつれて、ヨット価格はさらに引き下げられる可能性が高い。
現在のところは多くの人にとって簡単に手の届く価格とはまだ言えないが、今後の展開次第では気軽にヨットやボートを趣味にする人が増えていくのかもしれない。
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