3MFファイルとは?STLと何が違う?スライサーへの活用方法を徹底解説

2026年3月21日

3Dプリンターのファイル形式といえば STL と思っていた方も、最近「 3MF 」という単語を耳にする機会が増えていませんか。 Bambu Lab のプリンターを購入した、 PrusaSlicer のアップデートをした、マルチカラー印刷を試みた……そんなタイミングで 3MF と初めて出会うケースが多いようです。

この記事では、3MF ファイルの内部構造から STL との違い、実内での活用方法までを包括的に解説します。「 STL と喳に使っているが違いがわからない」「 3MF に切り替えるメリットがあるのか」と気になっている方に山も平もない内容です。

3MFファイルとは

3MF は 3D Manufacturing Format の頭文字です。 2015 年、 Microsoft・ Autodesk・ HP・ Stratasys・ Ultimaker など主要メーカーが加盟した 3MF Consortium によって公開・維持されているオープン規格です。

拡張子は .3mf で、 Windows 10 以降の Paint 3D・ 3D Viewer で標準的に開くことができます。業務用スライサーの主要ソフトも対応を急速に拡大しており、現在では「 STL の実質的な後継候補」とみなされています。

3MFが生まれた背景:STLの何が問題だったのか

STL は 1987 年に設計された形式です。当時の 3D プリント環境には十分でしたが、近年の技術進化に伴って以下の限界が顧均になってきました。

  • 単位定義がない:ファイル内に mm か inch か記載がなく、スライサー側の設定次第で寄法が変わる
  • 色・マテリアル情報を持てない:マルチカラー印刷の確立で大きなデメリットに
  • 印刷設定をファイルに保存できない:スメイルや重要内容が別ファイル管理になる
  • 複数パーツを 1 ファイルで扱えない:アセンブリは分割して管理が必要
  • 大容量になりがち:分解能を上げると数百 MB になることも

3MF はこれらの問題を一気に解決するために設計されました。

3MFのデータ構造

ZIP圧縮された XML の集合体

3MF ファイルの実体は、ZIP 形式で圧縮された XML ファイルの集合体です。拡張子を .zip に変えれば展開できて内部を確認できます。内部構造は次のとおりです。

ファイル・フォルダ内容
[Content_Types].xmlファイルのコンテンツ型定義
_rels/.relsファイル間のリレーション定義
3D/3dmodel.model形状・マテリアル・印刷設定の本体
Metadata/thumbnail.pngサムネイル画像(任意)

核心は 3dmodel.model ファイルです。ここにメッシュジオメトリ、色・マテリアル定義、印刷設定(拡張仕様利用時)をすべて内包できます。

保持できる情報

情報対応備考
形状(三角形メッシュ)STL と同様のポリゴン近似
寸法・単位(mm/inch)ファイル内に明示的に定義
色・マテリアルMaterials 拡張仕様対応スライサーで有効
印刷設定(サポート・スケール・向き)Production/Slice 拡張仕様対応ソフトで有効
複数パーツのアセンブリ1 ファイルで複数パーツを管理
数学的曲面( NURBS 等)×STEP のような高精度表現は不可

STLとの詳細比較

項目STL3MF
单位の定義なし(ソフト依存)ファイル内で明示
色情報なしあり(拡張仕様)
印刷設定の同梱不可可能(拡張仕様)
複数パーツ不可可能
ファイル構造单純なリストXMLベース・拡張可能
ファイルサイズ(同一モデル)大きくなりがちZIP圧縮で 30~80%削減可能
スライサー対応ほぼ全ソフト対応主要ソフト対応中(拡大中)

3MFの拡張仕様

3MF の強みは拡張性にあります。基本仕様に加えて、以下の拡張仕様が公開されています。

拡張仕様名内容代表的対応ソフト
Materials Extension色・テクスチャ・複数マテリアルBambu Studio, PrusaSlicer
Production Extension複数パーツ・印刷設定Bambu Studio
Slice Extensionスライス済みデータの同梱一部業務用ソフト
Support Extensionサポート構造の指定一部業務用ソフト

対応スライサー一覧

ソフト名対応バージョン3MF対応範囲
PrusaSlicer2.x以降基本 + Materials 拡張
Bambu Studio全バージョン基本 + Materials + Production 拡張
Ultimaker Cura4.x以降基本対応
ideaMaker4.x以降基本対応
Microsoft 3D Builder全バージョン基本 + Materials 拡張

3MFファイルの作成・書き出し方法

PrusaSlicer での使い方

  1. STL ファイルをインポートしてアレンジメントを設定
  2. 「ファイル」 → 「 3MF として保存」
  3. 色・マテリアル設定があれば同時に保存される

Bambu Studio での使い方

  1. プレート上にモデルを配置してプロファイル・フィラメント設定を完了
  2. 「プロジェクト」 → 「ものとして保存( .3mf )」で全設定を保存
  3. 次回開くとフィラメント・サポート設定も引き継がれる

Fusion 360 からの 3MF 書き出し

  1. 「ファイル」 → 「エクスポート」 → 「 STL / 3MF / OBJ 」
  2. 形式で 3MF を選択して保存

よくあるトラブルと解決策

Q1. 古いスライサーで 3MF ファイルが開けない
A. すべてのスライサーが 3MF に対応しているわけではありません。対応していない場合は STL で書き出すか、スライサーのバージョンアップを検討してください。

Q2. 色設定が引き継がれない
A. 対応スライサーであっても、 Materials 拡張仕様に対応していない場合は色情報が読み込まれません。 Bambu Studio または PrusaSlicer を使うことをお勧めします。

Q3. 3MF ファイルを渡したら印刷設定が勝手に変わってしまった
A. 3MF には印刷設定が埋め込まれているため、受け取り側がその設定を引き継いでしまうことがあります。共有時は印刷設定をリセットした STL ファイルで渡すか、設定内容を明記して共有するとよいでしょう。

まとめ

3MF は STL を超える多くのメリット——単位定義、色情報、印刷設定の同梱、小さなファイルサイズ——を持っています。 Bambu Lab や Prusa 機種を使っている方、マルチカラー印刷に取り組む方は特に 3MF のメリットを実感しやすいでしょう。一方で、設計精度が必要な機能部品の製造には引き続き STEP が適切です。用途に応じて使い分けることが大切です。

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編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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