アステリアとLib Work、3Dプリンター住宅のNFT基盤開発で提携

2025年9月10日
アステリアのプレスリリースより。

アステリア株式会社(東京都渋谷区、以下、アステリア)と株式会社Lib Work(熊本県山鹿市、以下、Lib Work)は、3Dプリンター住宅に関するNFT基盤の共同開発に取り組むと発表した。本プロジェクトでは、住宅の設計データや施工履歴をNFTとして管理し、改ざん防止と真正性の確保を実現する「住宅資産デジタルプラットフォーム」の構築を目指す。さらに、Lib Workは同社が施工する住宅の支払い手段として、日本円建てステーブルコイン「JPYC」の導入も計画している。(上部画像はアステリアのプレスリリースより。出典:アステリア)

3Dプリンター住宅市場の成長とNFT活用による資産保護の取り組み

建築業界は人手不足や資材価格の高騰といった課題に直面しており、その解決策の一つとして3Dプリンター住宅が注目されている。Lib Workの試算によれば、世界の3Dプリンター住宅市場は2034年までに約221兆円規模へと拡大し、現在の約100倍に成長すると見込まれている。一方で、デジタル化された設計図書や施工データには、不正複製や改ざんの危険性が高く真正性の証明が難しいという問題や、補修履歴の管理が不十分で売買や資産評価において適正に活用されていないという課題が存在している。こうした状況を踏まえ、Lib Workは設計図書や施工データ、補修履歴をNFT化することで安全に蓄積・共有する仕組みの検討を進めてきた。今回の提携により、ブロックチェーンを活用した「非改ざん証明」技術を持つアステリアと協力し、住宅資産を保護するための基盤づくりに着手することとなった。

3Dプリンター住宅の外観写真
3Dプリンター住宅の外観写真(出典:Lib Work)

「住宅資産デジタルプラットフォーム」の概要

本プラットフォームは、住宅に関する設計・施工・修繕の各データをNFTトークン化し、ブロックチェーンに記録する仕組みである。これにより、データの改ざんを防止し、資産としての住宅の信頼性を長期的に担保することが可能となる。具体的には以下の機能を備える。

  • 設計データの複製防止
  • NFTによる真正性証明
  • 補修履歴の透明な記録
  • シリアルナンバーによる新たな資産価値の付与
  • 分散管理されていた住宅データの一元管理と流通
  • 設計データのメタバース活用

さらに、決済手段として日本円建てステーブルコイン「JPYC」が導入予定であり、将来的には「USDT」や「USDC」などドル建てステーブルコインにも対応し、国際取引の拡大を視野に入れている。

日本円と連動するデジタル通貨「JPYC」の特徴と役割

日本円建てステーブルコイン「JPYC」は、前払式支払手段として発行される日本円連動型のデジタル通貨である。1JPYC=1円に価値が連動しており、暗号資産取引所を介さずに日本円で購入・利用できる点が特徴である。ブロックチェーン上で発行されるため、改ざん耐性や透明性が高く、決済や送金、NFT取引など幅広い用途に活用可能である。さらに、JPYCは資金決済法の枠組みに則って発行されるため、法的安定性が担保されている点も利用者に安心感を与えている。

今後の展望

両社は本プラットフォームを通じて、住宅資産のデジタル化とNFT活用を促進し、住宅データの新たな価値循環を創出することを狙う。Lib Workは2040年までに累計1万棟の3Dプリンター住宅建設を目標に掲げており、本プロジェクトはその実現に向けた基盤整備の一環である。また、フランチャイズ展開やライセンス提供を通じて事業規模を拡大し、住宅業界における新しいスケールモデルの確立を目指す。

アステリア株式会社の概要

アステリアは、社会や企業を「つなぐ」ことを専門とし、「ソフトウェアで世界をつなぐ」をコンセプトに掲げるソフトウェア開発企業である。同社はヒト、モノ、オモイを結び付ける製品やサービスを展開している。基幹製品であるASTERIA Warpは、さまざまなシステムやクラウドのデータをノーコードで連携可能な製品として提供されており、すでに1万社を超える企業に導入されている。また、デジタルコンテンツプラットフォーム「Handbook X」は、資料や動画、Webサイトなどの情報をアプリに集約して管理できるクラウドサービスである。さらに、モバイルアプリ作成ツール「Platio」は、誰でも容易に自社業務に適したアプリをノーコードで作成し活用できる仕組みを提供している。加えて、ノード統合プラットフォーム「Gravio」は、多様な場所に点在するデータをノーコードで収集・統合し、情報の一元管理を実現する基盤である。これらの製品群を通じて、アステリアは企業のDX推進や業務効率化を支援している。また、一般社団法人ブロックチェーン推進協会やノーコード推進協会の設立に参画するなど、イノベーションの普及や新しいテクノロジー・価値観の啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

株式会社Lib Work

Lib Workは、「暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる」というスローガンを掲げ、「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」というミッションの実現を目指す企業である。同社は戸建て事業にとどまらず、多角的な事業展開を進めている。デジタルマーケティング分野では、土地探しサービス「e土地net」やYouTubeチャンネル「Lib Work ch」の運営などを通じ、ニーズに応じた集客戦略を展開している。また、全国の工務店向けに提供するサブスクリプション型事業として、新築住宅プラン提案システム「マイホームロボ」の開発を行い、さらに「ALC/アダストリア・ライフスタイル・クリエイション」と共同で戸建て商品「niko and … EDIT HOUSE」を開発し、IPライセンス販売を展開するなど、プラットフォーム事業も手掛けている。加えて、サステナブルな取り組みの一環として3Dプリンター住宅の本格展開を開始しており、持続可能な未来の実現に向けて積極的に活動を進めている。

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