ミスミ、米Fictiv社を約501億円で買収 デジタル調達領域を強化へ

2025年5月9日

ミスミグループ(東京都文京区、以下、ミスミ)は2025年4月17日、米国子会社のMISUMI Investment USA Corporation(イリノイ州シャウンバーグ)を通じて、米国のカスタム機械部品オンライン調達プラットフォーム企業であるFictiv Inc.(カリフォルニア州オークランド、以下、Fictiv)を買収することで合意し、同社との間で合併契約を締結したと発表した。買収総額は約3.5億ドル(約500億円)にのぼる。(上部画像はミスミのプレスリリースより。出典:ミスミ)

買収の背景と狙い

Fictivは2013年に創業され、米国をはじめ中国、インド、メキシコに拠点を展開するなど、グローバルな製造ネットワークを有している。従業員数は約400名で、同社は約250社の製造パートナーと連携しながら、オンラインを通じて機械部品の見積もりから発注、納品までを完結させるサービスを提供している。高い技術力と迅速なサービス、強固な顧客基盤を背景に、近年急成長を遂げてきたとされる。

今回の買収は、ミスミが展開するオンライン調達サービス「meviy(メビー)」との事業的な親和性を踏まえたものとみられる。meviyは3D CADデータをアップロードするだけで即時見積もりが可能となり、最短1日での出荷に対応する。調達にかかるリードタイムを大幅に短縮できる点が特徴で、過去5年間で国内外のユーザー数は累計17万人を超え、4年連続で国内業界シェア1位を維持しているという。

ミスミは、製造業における「時間価値」の向上と非効率の解消を企業理念として掲げており、製造と流通の両機能を備えた独自の事業モデルを武器に、確実かつ短納期で製品を供給してきた。

競争力とシナジーの強化

Fictivの買収は、ミスミのデジタルサービスの競争力をさらに強化するとともに、グローバル市場での顧客基盤拡大につなげる狙いがある。特に、設備製造などの既存領域にとどまらず、製品開発段階などバリューチェーンの上流にも価値提供を広げる構えだ。

両社は提供地域や製品カテゴリにおいて補完関係にあり、今後は協業によるシナジー創出も期待されている。地域展開ではミスミが日本およびアジア市場に強みを持つ一方で、Fictivは米国を中心とした事業基盤を築いており、グローバルな事業連携が可能とみられる。

ミスミについて

ミスミは、製造業の現場で必要とされる機械部品、工具、消耗品などをグローバルに供給しており、2024年3月時点で31.8万社を超える顧客基盤を持つ。製造機能を持つメーカーでありながら、他社ブランド品を取り扱う商社としての機能も備えており、独自のビジネスモデルにより「グローバル確実短納期」を実現している。Fictivの買収により、今後、グローバル市場におけるデジタルものづくり支援事業の加速が期待される。

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