新東工業がスイスの3Dプリンターメーカーエグゼンティス社の独占販売権を取得
名古屋に本社を構える新東工業株式会社(以下、新東工業社)が、量産型の3Dプリンター及び生産材料、消耗品を製造するスイスのエグゼンティスグループ社(以下、エグゼンティス社)と、3Dプリンター関連商品の日本国内における独占販売契約を締結した。(画像はエグゼンティス社の3Dプリンター 出典:新東工業社)
エグゼンティス社について
2017年に設立されたエグゼンティス社は、スイスのアールガウ州シュッテッテンに本社を構えている。3Dスクリーンプリンティング技術を搭載した3Dプリンターを製造し、積層造形による精密部品をはじめとした量産システムを提供する企業だ。3Dスクリーンプリンティング技術とは、二次元で使用されるスクリーン印刷の技術を応用したものになる。プリント素材をメッシュ状の糸の間から押し出して行うプリントし、立体造形を行う。スクリーンを切り替えることで様々な形状への対応も可能だ。
エグゼンティス社の3Dプリンターは、直径0.125mm、壁厚0.07mmの微細で複雑な形状の製品を、±30μmの高精度かつ短時間で積層できるとのこと。プリント素材としては金属系、セラミックス系、樹脂系や生物由来の原材料など約100種類以上に対応している。対応可能な素材の多さから、従来の3Dプリンターがかかえる課題への解決が期待されている。また、廃棄物や後加工が少なくて済む設備のため、環境負荷を低減した製造方法としても注目されているととのこと。
新東工業社について
新東工業社は、鋳造事業を核として、表面処理事業や、従業員の安全と健康を守る環境事業、さまざまなものづくりの基盤のために機械工学、電気工学、電子工学、情報工学の知識や技術を応用するメカトロニクス事業を展開している。近年では、ロボット用センサや介護機器、IoTサービスなどの新分野にも参入した。
素材の生産、鋳造、表面処理加工、組み立て、検査いった3Dプリントに関わる工程を一貫してグループ会社で行える体制になっており、3Dプリント事業との相性はよい。近年では自社商品が従来の自動車や航空機、産業機器分野に加え、電子やエネルギー分野にも広がりつつあるようだ。
今回のエグゼンティス社との独占販売権の契約締結は、一層の高速化が求められる電子・通信分野や次世代エネルギー関連分野など、微細で複雑な製品形状の実現によって技術革新が進む分野への更なる事業拡大を進めることが狙いにある。
新東工業は、元々鋳造に強みを持っている会社だが、以前から3Dプリントへの関心が高く、2017年にはセラミック事業拡大の一環として、フランスにあるセラミックス3Dプリンターの有力メーカー3Dセラム社を子会社化している。3Dプリント技術を活用し、セラミックが用いられる医療分野(人工骨、人工歯、人工関節等の生体材料)、航空宇宙分野、エネルギー分野への事業へも力を入れていく姿勢がうかがえる。
新東工業社の他にもニコンのSLMソリューションズ買収などのように、国内の3Dプリンターメーカーや関連企業が海外メーカーの独占販売権を取得するケースが増えており、AM業界のダイナミックな動きからは今後も目を離せない。
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