Stratasysがドイツの樹脂材料メーカー・CovestroのAM材料事業を買収
樹脂3Dプリンター大手のStratasys(以下、ストラタシス)は、ドイツに本社を置く樹脂材料メーカーCovestro AG(以下、コベストロ)のAM材料事業の買収完了を発表した。この買収で、ストラタシスはコベストロの樹脂のAM材料分野における研究開発施設、欧州、米国、アジアにまたがるグローバルな開発・販売チーム、約60種類のアディティブ・マニュファクチャリング材料、数百件の特許と出願中の特許からなる広範なIPポートフォリオを手中に収めた。
樹脂3Dプリンター分野での新材料投入が市場の成長を牽引
ストラタシスはコベストロのAM分野向け材料事業を買収し、経営・開発・販売など各分野の人的リソースも獲得したようだ。コベストロでAM事業部門の担当副社長を努めたヒューゴ・ダ・シルバ氏は、ストラタシスの戦略・M&A・ベンチャー担当副社長のポストを務めることになった。
シルバ氏は、今回の買収が航空宇宙、医療、EVなど成長事業分野への新材料投入が新しい市場を開拓する、という力強いメッセージを発信した。下記がシルバ氏が発信したコメントである。
「この買収により、特定の使用例に対する完全なソリューションへのストラタシスの注力が進み、製造業における3Dプリンタの活用が及ぶ範囲をさらに拡大させます。新しい材料は、新しい3Dプリンタと同じくらい市場を変革する可能性があります。航空宇宙用の難燃性、耐熱性、耐煙性材料、医療用の新しい生体適合性材料、電気自動車用のESD特性を持つ弾力性材料など、新しい材料イノベーションをソリューションの一部として市場に投入し活用実績が増えていけば、世界中のあらゆるものの製造方法を変革できると信じています。」
ストラタシスの装置ラインナップの拡充も支える材料技術の強化
コベストロが開発販売していた「Somos」および「Addigy」ブランドのAM用樹脂材料は、ストラタシス以外の3Dプリンター用材料も含めて今後も販売が継続されるが、材料、IPポートフォリオ、および人材は、ストラタシスの装置ラインアップの拡充を支えるために必要な要素となる。
ストラタシスCEO Yoav Zeif博士は、「(今回の事業買収は)当社にとって、樹脂のアディティブ・マニュファクチャリング業界におけるリーダーシップを揺るぎないものにするための重要なマイルストーンとなりました。この買収により、当社の幅広い3Dプリンタの造形テクノロジーに対応する材料ポートフォリオを拡大するだけでなく、さらに新しいイノベーションへの道を開くことができます。社内の材料専門家チームが増え、材料エコシステム・パートナーとのコラボレーションがより強力になります。共に、より多くのアプリケーションに迅速に対応し、アディティブ・マニュファクチャリングで可能なことの限界を押し広げることができるようになります」と述べた。
ストラタシスが得意とするFDM方式のほか、光造形方式、粉末床溶融方式などの造形技術を拡大していく上で、材料知見が重要な役割を果たすとの認識を示した。
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