仏に3Dプリントセンターを設立 ― Wabtec・Nikon SLM Solutions
アメリカに本社を置く鉄道企業のWabtec社が、Nikon SLM Solutions(以下、ニコンSLMソリューションズ社)と提携し、フランスのトゥールに3Dプリント専用センターを開設した。ニコンSLMソリューション社製の金属3Dプリンターを用いて、旧式部品のスペアパーツの製造などに対処する。(上部画像は3Dプリントセンターのようす/出典:Wabtec社)
鉄道部品のスペアパーツを3Dプリンターで製造
鉄道業界共通の課題として、老朽化した旧式部品の入手が困難であるという点が挙げられる。鉄道車両は寿命が長いからこそ、長く使用していく間に製造されなくなった部品や、市場に広く流通しなくなった部品がある。金属3Dプリンターは、入手困難な部品のスペアパーツを数週間で製造でき、コストや列車の休止時間、納期の遅れを大幅に削減できる。
Wabtec社と、ニコンSLMソリューション社と提携して開設した3Dプリント専用センター。「SLM 500」「SLM 280」「SLM 800」といったニコンSLMソリューション社製のほぼすべての金属3Dプリンターを設置し、鉄道部品のスペアパーツ製造を行う。ニコンSLMソリューション社の金属3Dプリンターはプリント材料となる金属粉末を敷きつめ、レーザーを照射して溶かし固めて造形していく、パウダーベッド方式の設備だ。
3Dプリント センターでは基本的なスペアパーツだけでなく、ブレーキシステム、パンタグラフ、車内空調システム、ドアなどの製品も製造される。
Wabtec社が、ニコンSLMソリューション社との提携を決めた背景には、アルミニウムに関する技術的オプションの提案内容が優れていたことに加え、Wabtec社の過去の検証済みパーツのいくつかがすでにニコンSLMソリューション社の機械で製造されていたことが要因だという。
Wabtec社は、鉄道業界向けの部品製造に3Dプリント技術をいち早く採用した企業で、2015年頃には3Dプリンターによる試作品の製造を始め、その後2017年頃までには、最終用途部品向けの金属3Dプリントに重点を移している。同社は2025年までに25,000個の部品を3Dプリントすることを目標にしている。
鉄道業界の関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。