スギノマシン社が新型マシニングセンタの開発開始
株式会社スギノマシンは、主要な製造業をターゲットに、金属AMと従来の切削加工を一体化した新しいマシニングセンタの開発に着手。この装置は大陽日酸株式会社が開発した3DPro® RotoTIG(ロトティグ)専用トーチを搭載し、金属AMと切削加工が1台で行える装置で、2025年度の販売開始を予定している。(上部画像は新型マシニングセンタの装置外観[イメージ]出典:スギノマシン社)
金属AM技術の現状と課題
金属AM技術は、航空宇宙、自動車、医療などの分野で注目を集めている。しかしながら、現在の技術にはいくつかの課題が存在する。まず、造形精度にばらつきがあり、製品内部に空孔やクラックが生じる可能性がある。また、大型部品の製造には制約があり、造形サイズに限界があることも問題である。さらに、プリプロセスやポストプロセスが複雑であり、設計データの準備や後処理に多くの時間がかかる。このような課題を解決するためには、より高度な材料制御やリアルタイムの品質モニタリングが求められている。金属AM技術の普及には、これらの技術的なハードルを克服することが重要である。
新型マシニングセンタの特徴と技術的優位性
新型マシニングセンタは、金属AM技術と切削加工を一体化したハイブリッド装置である。この機械の特徴は、造形後に即座に高精度の切削加工を行える点にある。従来の製造プロセスでは、別々の工程で行われていた造形と仕上げ加工が、同一機器内でシームレスに行われるため、リードタイムの短縮が可能となる。また、AM技術による部品の製造が終了した直後に、最適な形状に仕上げることで、精度と品質の向上が実現される。さらに、材料の無駄を最小限に抑えながら、複雑な形状の部品を高効率で製造できる点も大きな強みである。この技術により、多様な産業における部品製造プロセスが大幅に改善されることが期待される。
金属AM技術のメリットと従来技術との融合
金属AM技術の最大のメリットは、従来の加工技術では困難であった複雑な形状や軽量化された部品の製造が可能である点にある。さらに、設計の自由度が高く、部品のカスタマイズが容易であるため、多品種少量生産にも適している。また、材料を必要な箇所にのみ使用するため、無駄を最小限に抑えることができ、コストの削減にもつながる。これに対して、従来の切削加工は高い精度と仕上げ品質に優れているが、AM技術ほどの設計自由度はない。新型マシニングセンタは、これらの技術を融合させ、AM技術で生産された部品を即座に高精度に仕上げることで、両者の長所を最大限に活用することができる。このような融合技術により、従来の制約を超えた新たな製造方法が実現される。
今後の展望と市場への影響
金属AM技術と切削加工を一体化した新型マシニングセンタは、今後の製造業において大きな変革をもたらすと予想される。この技術は生産プロセスの効率化やコスト削減に貢献するだけでなく、製造業のサプライチェーン全体においても柔軟な対応が可能となるため、産業全体に広範な影響を与えるだろう。市場規模は今後急速に拡大すると予想されており、特に、部品の品質向上と生産リードタイムの短縮が実現されることで、製品の市場投入速度も加速する。このように、新技術の普及により、グローバル市場での競争力強化が期待される。
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