【造形レポート公開】高い形状安定性と機械的強度を確認!ガラス短繊維を含有したエンジニアフィラメント
企業・教育機関向け3Dデジタルソリューションを提供する日本3Dプリンター株式会社(以下、日本3Dプリンター)は、日本総代理店となっている3Dプリンター「Raise3D」の「日本OFP」(オープンフィラメントプログラム)にて、「Ultrafuse PPGF30」の造形テストを実施。そのプロセスをレポートとして公開したことを発表した。
(写真:日本3Dプリンター「Raise3D」公式WEBサイトより引用)
さまざまなニーズに対応できる「Raise3D」
「Raise3D」は試作品から最終製品まで幅広いニーズに対応した3Dプリンターである。
高強度、耐薬品性、耐候性など多くの素材を使用することができ、導入業界も多岐にわたる。
日本では800台以上導入しており、日本3Dプリンターは日本総代理店として販売からアフターサポートまで実施している。
造形テスト概要
今回のテストは、Raise3Dメーカーが販売しているフィラメントに加えて、日本3Dプリンターが日本独自にテストを重ねて使用可能を確認したフィラメントを、純正のレパートリーに追加していくというプログラムのテストとして実施されたものである。
「Ultrafuse PPGF30」は薬品耐性と強度が優れていることから、今回のテストでは攪拌機などの回転系に使う大型の直径約160mm×高さ67.5mmのインペラーを造形している。
■使用機種:Raise3D Pro2
■使用フィラメント:BASF社製「Ultrafuse PPGF30」
「Ultrafuse PPGF30」の特徴
ポリプロピレン樹脂(PP)に30%のガラス短繊維を含有したエンジニアフィラメントである。
PP本来の靭性と強度にグラスファイバーを含有したことで、PPよりも形状安定性が向上し機械的な強度が得られる。
■メーカー推奨設定
ノズル温度 | 240~250℃ |
造形スピード | 30~60mm/s |
ビルドプレート温度 | 20~40℃ |
ビルドプレートの状態 | PPテープ |
ノズル径 | 0.6mm以上のタングステン強化ノズル |
ラフト造形 | 無し |
造形テストの結果
表面の仕上がりはカーボン系樹脂に匹敵すると考えられる。糸引きなどのバリもほとんど無く綺麗な仕上がり。
強度に関しても、PP本来のしなりがある質感でフィンの部分に力を加えても割れる様子は見受けられなかった。
僅かに円形の縁にあたる部分で収縮による影響が見られたが、ガラス短繊維が入っていることからPP全体の収縮が抑えられていることが分かった。
以下のサイトで、今回の造形テストに関する詳細なプロセスを写真とともにレポートとして公開している。
▼BASF-Ultrafuse-PPGF 30造形レポート(日本3Dプリンター「Raise3D」公式WEBサイト):https://raise3d.jp/archives/reports/1399
▼BASF-Ultrafuse-PPGF 30造形レポート(BASF社公式WEBサイト):https://www.ultrafusefff.jp/basf-ultrafuse-ppgf-30/
顧客のニーズに独自に対応する日本3Dプリンターの取り組み
3Dプリンターに対するニーズは年々幅広いものとなってきており、導電性や耐熱性、耐薬品性、耐候性、高強度など、従来のABSやPLAフィラメントでは対応できない要件も増えてきている。
顧客視点でのサービス展開を強みのひとつとする日本3Dプリンターは、そうした多様化したニーズに対応できるよう、
要望に合わせたフィラメントの材料テストを無料で実施。「Raise3D」にて造形が可能であれば、保証の範囲内としての対応や、純正品のラインナップに加えるといった対応を行っている。
また、独自にサードパーティー製フィラメントのテストを実施。
「Raise3D」で使用できるメーカー販売のフィラメントが5種類ほどであるのに対し、同社では純正としているフィラメントを15種類に増やしている。
関連情報
3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。