リコーが3Dプリンター製マイクロ水力発電装置を開発
株式会社リコーが、国土交通省が主導する下水道応用研究の一環として、3Dプリンター製のマイクロ水力発電装置を開発。静岡県内の下水処理場で実証実験が行われた。3Dプリンター製のマイクロ水力発電装置は、シーベル株式会社、金沢工業大学機械工学科 山部昌・瀬戸雅宏研究室の産学連携で開発された。
(画像は下水処理施設におけるマイクロ水力発電装置の活用イメージ/出典:リコー社)
3Dプリンター製発電装置が下水処理場の電力消費問題の解決に
下水処理の過程には、タンクに送りこんだ下水の汚れを微生物によって分解させる工程がある。微生物の働きを活発にするためには水中に酸素を送り込む必要があり、それには約75kWhもの多大な電力が消費される。これは、年間の電力費に換算すると約1,100億円に相当する。
下水処理場の電力消費量の低減のため、一部の下水処理場にはマイクロ水力発電装置が設置されているが、出力の小ささ、設置コストの高さ、機器の重量、装置のサビやすさといった点で課題がある。
今回開発されたリコー社の3Dプリンター製マイクロ水力発電装置は、1つの装置に発電機が2機搭載されているため、効率よく発電できる。実験の結果、数kWの発電に成功したという。また、従来の金属製マイクロ水力発電装置と比較すると、重量は水車部分で25%、装置部分で15%の軽量化を実現した。さらには水車部の作成期間も従来の約1か月から3日へと大幅に短縮された。水車部は樹脂製のため、水中での耐久性も向上している。
既存の水路にそのまま水車を置けるため、水力発電のための専用のバイパス水路を新設する必要がない。設置工事費の面でも優位性がある。
今後は、この発電機により発電した電気は、下水処理場内にある防災拠点での非常用電源やモビリティなどのバッテリーシステム、クローラー型の自動検査ロボット電源などでの活用も見込んでいるという。国内の下水処理場での設置だけでなく、海外の新興国や欧米などでの導入も視野に入れているようだ。
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