Bambu Lab、個人向け製造を再定義するフラッグシップモデル「H2D」を発表

デスクトップ製造ソリューション分野で高い技術力を誇るBambu Lab(中国・深圳)は、精度と性能の新たな基準を提示する画期的なフラッグシップモデル「Bambu Lab H2D」の発売を発表した。H2Dは、単なる多機能3Dプリンターではなく、レーザー刻印や精密カットなど、試作品から完成品までを1台で実現できる全く新しい製品カテゴリーである。(上部画像はBambu Labの「H2D」出典:Bambu Lab)
目次
デスクトップで完結する高精度製造!次世代オールインワン「H2D」誕生
3Dプリントによるプロトタイプを、レーザーによる繊細な彫刻や精密に加工されたコンポーネントを持つ完成品へと仕上げる——そのすべての工程が、ひとつのデスクトップデバイス上で完結し、いかなる段階でも品質が損なわれることはない。このような製造の理想形を現実のものとしたのが「H2D」である。
H2Dは、従来の3Dプリンターに単に周辺機器を追加した製品ではない。各機能がそれぞれ高度なパフォーマンスを発揮するようにゼロベースで設計された、まったく新しい製品カテゴリに属するシステムである。一般的な「オールインワン」タイプの装置に見られる、汎用性を得る代償として品質が犠牲になるような妥協は一切ない。H2Dは、搭載するすべての機能において高水準の性能を有しており、これまでに開発された中でもっとも汎用性が高く、かつ強力な個人向け製造システムと位置付けられる。
高精度かつシームレスな工程統合を実現する「H2D レーザーエディション」
H2D レーザーエディションは、複数の製造方式においてプロフェッショナルレベルの性能を発揮する装置である。ライブ空間アライメント技術を備えており、各ツール間の切り替えが極めてスムーズに行える点が特徴だ。
また、BirdsEye機能とツールヘッドに搭載されたカメラにより、最大で0.3mmという高精度な位置決めを実現。これにより、一つのプロジェクト内で複数のプロセスを無理なく統合し、複雑な作業工程を一貫して処理することが可能となっている。

H2Dは、先進的な機能を一台に統合した製造プラットフォームである。
まず、デュアルノズル方式による高性能3Dプリンティング機能では、最大350°Cのホットエンド、350×320×325mm³という広大な造形エリア、そして最大1000mm/sのツールヘッド速度を誇る。加えて、カーボンファイバーやガラス繊維で強化されたエンジニアリンググレードのフィラメントに対応可能な65°C加熱チャンバーを備えており、高度な材料を用いた造形にも対応する。
レーザー彫刻および切断機能においては、精密な加工を可能にするビジョンベースのアライメントシステムとともに、統合エアアシストポンプやレーザー安全ウィンドウ、さらに5つの炎センサーとAIによる火災検知機能、緊急時の自動プロトコル作動など、包括的かつ堅牢な安全対策が施されている。
さらに、デジタルカッティングおよびペン描画機能では、専用機に匹敵する精度でのビニールカットやカスタムステッカー、技術的な図面描画が可能であり、創作から試作、実製品製造までを一貫してカバーする汎用性を実現している。
精度と信頼性を極限まで高めるH2Dの革新技術群
H2Dの中核を成すのは、これまで産業用機器に限定されていた高度な技術をコンパクトなデスクトップ装置に凝縮し、精度と信頼性の新たな基準を打ち立てる一連の革新技術群である。
まず、ビジョンアシストエンコーダシステムは、全ビルドエリアにわたって50µmという極めて高い動作精度を実現している。この精度は、従来では産業グレードの機器でなければ到達しえなかったものであり、寸分の狂いも許されない精密部品の製作や、複数部品による複雑なプロジェクトにおける高精度な組み立てを可能にする。
次に、DynaSenseサーボPMSM押出機は、独自に設計された永久磁石ブラシレスサーボモーターを中核とし、トルク・速度・位置の各パラメータを緻密に制御する。これにより、リアルタイムで押出圧力を監視しながら、ノズルの部分詰まりを自動で検出し、フィラメントの摩耗も未然に防ぐ。結果として、高速造形中でも滑らかで高品質な表面仕上げを維持することができる。
さらに、渦電流ノズルキャリブレーション技術によって、デュアルノズル間のX/Y方向のズレを自動で補正するプロセスが実現しており、従来手動で行われていた煩雑な調整作業が不要となった。これにより、マルチマテリアル造形においても常に正確な位置合わせが保証され、ユーザーは手間なく高精度なプリントを実現できる。
インテリジェントノズルカメラは、AIとマクロレンズを活用し、ノズル先端における押出状況を常時モニタリングする機能を持つ。フィラメントの偏り、ノズル先端の蓄積、詰まり、さらには空中プリントやスパゲッティ現象といった造形失敗の兆候を即座に検出し、トラブルの早期対処を可能とする。

最後に、SOTAフィラメントモニタリングシステムは、AMS(オートマチック・マテリアル・システム)からノズルに至るまでの全経路において材料の流れを徹底的に監視する。15個の戦略的センサーを用いて、供給速度、張力、フィラメント先端の位置、押出機周辺の熱環境、そして押出圧力の動的変動という5つの重要パラメータを常時トラッキングすることで、造形全体の安定性と再現性を一段と高めている。

進化した自動供給システム「AMS」シリーズ
H2Dの機能をさらに強化する存在として、再設計された自動材料供給システム「Automatic Material System(AMS)」が挙げられる。現在、このAMSには2種類の専用バージョンが用意されている。
ひとつはAMS 2 Proであり、フィラメントの品質保持において革新的な仕組みを採用している。本機は、乾燥機能に加えて電磁ベントを内蔵しており、乾燥モードと保管モードを自動で切り替えることが可能である。これにより、効果的なフィラメント乾燥と長期保管の両立という、これまで相反していた要件を同時に満たすという課題を解決している。
もうひとつのAMS HTは、エンジニアリンググレードのフィラメントに特化した設計が施されている。最大85°Cまで加熱可能な乾燥機能を搭載しており、カーボンファイバーやガラス繊維で強化されたリジッドフィラメント、ならびに柔軟性の高いTPUの安定供給に対応する。特に、材料供給時の抵抗を軽減するフィラメントバイパスパスの導入により、フィラメントの搬送効率が大幅に向上している。
高度な個人製造を可能にするH2D、その活用拡大に向けて
H2Dは3Dプリントにとどまらず、レーザー加工やカッティングまでを一台でこなすパーソナル製造機であり、その多機能性と高性能さは群を抜いている。一方で、こうした高度な機能を使いこなすには一定のデジタルファブリケーション経験や、ツール習得への意欲が求められる。今後は教育機関やメイカーコミュニティでの活用が進むことで、より多くのユーザーがこの先進的な製造体験にアクセスできるようになるだろう。
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