株式会社Bfull(愛知県一宮市)は、本体価格約1,500万円の産業用大型3Dプリンターを6ヶ月間だけ契約者の社内に設置し、実際の業務フローの中で導入可否を検証できる短期レンタルサービスを開始した。レンタル料金には、機器本体の費用に加えて、毎月最大10kgの材料費(樹脂)と、設置・運用・技術コンサルティングを含む専門家によるサポートが全て含まれている。
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Bfullは年間150万パーツ以上、国内有数の光造形専門の受託製造実績を誇る
Bfullは現在年間150万パーツ以上を製造する光造形特化の受託工場としては日本最大手のサービスビューロだ。大手玩具メーカーなどの依頼を受けてフィギュアなどの少量生産や実力派モデラーからの大型造形部品などを手掛けてきた。かつては廉価な光造形機を100台以上ならべた並列生産にとりくんだ経験もあるが、近年はZ-Rapidをはじめとした中国製光造形機を数十台自社工場にならべ製造を行っている。
その経験を活かして高性能大型光造形機の販売を開始。オリックスレンテックとタイアップして法人向けの受託製造のサブスクリプションサービスを提供するなど、斬新なサービス提供を行ってきた。その結果、自動車製造業のほか各種メーカーへの装置販売や受託製造を積み重ねてきたという。
「これを買って成果をだせるのか」悩んでいるうちに、月が過ぎるのを防ぐためのレンタル

数万円の装置であれば購入して失敗しても勉強代と割り切れるが、1500万円の大型3Dプリンターを導入する際に、本当に購入して採算がとれるのか。期待通りの成果を出せるのかが不安になる担当者もいることだろう。汎用装置だけに試さなければいけないことは無数にある。サンプル造形を依頼してもメーカーの熟練技術者が製造したもの通りに自社でも製造できるかどうかわからないと悩むこともあるだろう。

そうした課題感に応えるためにレンタルサービスを提供していたが、今回大幅に内容を強化。

400㎜角の造形領域を持つZRapid iSLA 450を6か月間レンタルできるサービスとなっている。月額は39万円ということだが、1500万円相当の装置をリースで導入した際の装置費用と保守費用、サポート費用、材料費と考えると初期の手出しがないローリスクな提案内容になっている。
Bfullの半年リースの注目ポイント

また注目したいのは、専門家のサポートが半年間無償でついてくる点だ。光造形の装置は液抜きの流路をつくったりMEX/FFF方式とは異なる設計・造形ノウハウが必要だ。より大型部品を作るための分割設計のコツなど実際に自社で設計者と装置オペレーターである造形者が一緒に立ち上げ時に取り組む課題は多い。そうした際の技術支援が月額費用に含まれている点は心強いだろう。また気に入ってそのまま購入したい場合は100万円のキャッシュバックが設定されているという。
もともとBfullは自社内部にフィギュアの設計者や造形担当者が実際に業務を行っている。実務ノウハウを備えたエンジニアが直接支援してくれる安心感はあるが、それが利用料に含まれている点はうれしい。
廉価なMEX方式の装置ではできない大型造形に取り組めるメリットなどもあるが、実際に自社で使いこなせるか不安である導入担当者には検討メリットがあるオファーになっているといえるだろう。
Bfullの参考記事
年間150万パーツをAM製造するBfullの知られざる実態 ― Bfull
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。



