株式会社JMC(神奈川県横浜市、以下、JMC)は、CMET株式会社(神奈川県横浜市、以下、CMET)および、中国・上海を拠点とするUnionTech(中国上海市、正式社名:上海聯泰科技股份有限公司)製の3Dプリンターの国内販売を新たに開始した。とりわけ、UnionTech社製品については、同製品の日本国内における唯一の取り扱い企業である株式会社日本未来技研(東京都渋谷区、以下、日本未来技研)と連携し、導入からアフターサポートまで一貫したサービスを提供する体制を構築している。
目次
国産とグローバル機の両輪で、3Dプリンター導入を支援
JMCは1999年より3Dプリンターを活用したサービスビューローとして事業を展開し、顧客の製品開発や試作を支援してきた。今回の販売開始により、SLA方式の光造形分野で国内で豊富な導入実績を持つCMET製SLA装置と、世界的な導入実績を持つUnionTech製装置をラインアップに加え、国内の3Dプリンター導入をハードウェア面からも後押ししていく構えである。
日本発の信頼性と中国発のグローバルマシン、両方の価値を提供
3Dプリンターに対する市場の要求は、品質・コスト・納期のすべてにおいて年々高まりを見せており、装置導入を検討する企業も増加傾向にある。一方で、日本国内における3Dプリンター導入には、販売事業者の提案の偏りや適切な導入支援人材の不足、アフターサービス網の整備遅れなど、多くの障壁が残されているのが実情である。
CMETは、1990年の創業以来、光造形方式による高精度な3Dプリンターおよび専用樹脂材料の開発を手がけてきた。国産技術にこだわり、稼働安定性と柔軟なサービス対応力を武器に、長年にわたり国内の多くの製造現場で高い評価を得ている。
JMCは日中両ブランドで最適な3Dプリンター導入を提案
一方のUnionTechは、2000年に中国・上海で設立された企業であり、SLA方式やDLP方式といった光造形技術を中心に、産業向け3Dプリンターをグローバルに展開するメーカーである。世界的に多数の製造業に採用され、量産にも対応可能なSLA装置を提供しており、その導入実績と対応力により、幅広い用途での活用が進んでいる。
JMCは、これまでに蓄積してきた技術力および顧客ネットワークを最大限に活用し、高信頼な日本製のCMET製装置と、世界標準のUnionTech製装置の両方を取り扱うことで、装置導入を検討するユーザーにとって最適な提案を可能とする企業としての価値を一層高めていく方針である。
3Dプリンターから鋳造・医療分野まで、JMCの概要
1992年設立。1999年に光造形方式の3Dプリンターを導入し、製造業に本格参入。2006年には有限会社エス・ケー・イーを吸収合併し、砂型鋳造事業に進出。さらに、2015年には産業用CTを活用した非破壊検査事業、医療分野では心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」の販売を開始するなど、領域を拡大してきた。2016年には東京証券取引所マザーズ市場に上場(2022年よりグロース市場へ移行)。
シェアラボ編集部コメント
JMCが今回取り扱いを開始したCMETおよびUnionTechの3Dプリンターは、いずれも光造形技術において確かな実績と信頼性を備えており、日本の製造業が直面する多様な課題――高精度化・短納期化・人材不足――への対応を後押しする存在となるだろう。とりわけ、国産技術に根ざしたCMETの製品と、世界展開を加速するUnionTechの製品を同時に提案できる点は、ユーザーにとって選択肢の幅を広げると同時に、JMCの立ち位置をより強固なものにすると考えられる。
3Dプリンターのハードウェア供給とサービス支援が一体となることで、これまで導入のハードルが高かった国内中小企業にも、新たな技術活用の扉が開かれることを期待したい。
| ■ サービスビューロー(Service Bureau) 顧客からの受託により、3Dプリンターなどの装置を使って部品を製造・提供するサービス提供者を指す。自社で装置を保有しない企業や個人でも、製造技術を利用できるようになる。 |
| ■ SLA方式(Stereolithography Apparatus/光造形法) 紫外線レーザーを用いて、液状の光硬化性樹脂を一層ずつ硬化させて立体物を造形する3Dプリント方式。高精細な表現が可能で、試作品や医療モデルの作成に適している。 |
| ■ DLP方式(Digital Light Processing/デジタル光処理) SLAと同様に光硬化性樹脂を使用するが、レーザーではなくプロジェクター光を一括で照射して硬化させる方式。高速造形が可能で、造形物の精度と生産性を両立できる。 |
| ■ 3Dプリンター導入支援 企業が3Dプリンターを導入する際に必要な製品選定、環境構築、教育、運用サポート、メンテナンス等を包括的に提供するサービス。導入障壁の高さから、経験豊富な支援体制が求められる。 |
| ■ 光造形機 SLAやDLPなど、光を使って液体樹脂を硬化させて造形する3Dプリンターの総称。高精度な造形が可能で、特に試作や精密部品の製造に利用される。 |
新製品の関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中からピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。



