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再利用可能な3Dプリンター製のロケット、わずか60日で完成

アメリカのロケットベンチャー企業「 Relativity」は再利用可能なロケット「Terran R」を3Dプリンターで製造する計画を発表した。

Terran Rは2024年にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられる予定だ。Relativityは、政府と民間を併せて9件の打ち上げ契約を確保している。

開発背景

Relativity はロケット製造施設ごと火星に移植して、現地でロケットを製造する、という長期的ビジョンを持っている。これは、ロケット製造に要する原材料がシンプルだからこそ可能なことだ。2021年後半には第1回目となる「Terran 1」の打ち上げテストをおこなう予定で、すでにフロリダ州ケープカナベラル空軍基地の打ち上げ施設を確保している。

同社が最初に製造した第一号のロケットであるTerran 1は、設計と組み立てのプロセスを3Dプリント技術によって可能な限り簡素化することをミッションとした。そして実際に、3Dプリンターで作られた部品はロボットアームによる自動生産を実現させ、一般的に製造に10~14ヶ月を要するところ2~3週間へ短縮することに成功した。

相対性空間-スターゲート-世界最大の金属3Dプリンター
Relativity 工場(出典: Relativity )

そのTerran 1からさらに進化し、20倍のペイロードでの打ち上げを可能にしたのがTerran Rだ。大型コンステレーションの打上げサービスに対する需要増加に対応するために開発されたTerran Rは、政府機関や民間企業の顧客に、LEO(静止軌道)および宇宙空間へのアクセスへの効率化を可能にした。

Relativity CEO兼共同設立者であるティム・エリス氏は、今回の開発について以下のようにコメントしている。

Relativity設立へのインスピレーションは、SpaceXがロケットを着陸させ、宇宙ステーションにドッキングするところを目にしたことでした。創業して13年の同社は、その輝かしい成功に留まることなく、人類を多惑星化しようと考え、火星に行くことを目指す唯一の企業でした。そして私は、3Dプリント技術が他の惑星に産業基盤を現実的に構築する上で避けられないものだと考えたのです。

火星に行こうと実際に試みたり、それが自分たちのコアミッションだと主張する人さえいないときでした。それは5年後の今でも、実際にはまだ当社とSpaceXだけです。そしてそのミッションの後に進むべき数十から数百の企業にインスピレーションを与えたいと、私は心から願っています。

Relativity CEO兼共同設立者であるティム・エリス氏/cite>

第一弾からさらに進化した「Terran R」の特徴

Relativity が掲げる人類の多惑星の未来を築くという使命に向けた大きな飛躍 として開発されたTerran Rは高さ66m、直径4.9m、ペイロードフェアリング5mの2段式ロケットだ。エンジンの推力は210万ポンド、地球低軌道(LEO)へ20トンの打ち上げ能力を持っている。

Terran Rの特徴は大きく分けて2つポイントがある。

特徴1:第一弾ロケットTerran 1とTerran Rの違い

T1_TR_Group_1.png

この写真で、 左がRelativityのTerran 1、右がTerran Rだ。その見た目の大きさ以外にも違いがある。

その違いは、Terran Rは再利用可能な点だ 。Terran 1は小型ペイロード用で消耗品として作られた。一方、Terran Rは 大型ペイロード用に設計され、 エンジンやペイロードフェアリングを含め完全に再利用可能だ。さらに同社は回収とリサイクルを容易にするシステムを提供している。

特徴2:エンジン含めたすべてが3Dプリンターで造形

二つ目の特徴は、同社の持つ世界最大の産業用金属3Dプリンター「Stargate」を使い、構造体ばかりでなくエンジンも3Dプリントされている点だ。そのため、タッチポイントやリードタイムが大幅に少なくなり、サプライチェーンがシンプルになり、全体的な信頼性が向上するとしている。

ロケットを短期間で開発するスタートアップ「Relativity」 大型金属3Dプリンタで火星でもロケットを打ち上げ!? | Webマガジン「AXIS」  | デザインのWebメディア
金属3Dプリンター「Stargate」 (出典:Relativity)

Terran 1は2021年秋に、Terran Rは2024年にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられる予定だ。Relativityは、政府と民間を併せて9件の打ち上げ契約を確保しているとしている。

Relativityとは

Relativityは、3Dプリントによる製造をトップダウンで行うという斬新なアプローチにより、設立5年目にしてロケットの設計・製造を飛躍的に進化させた企業だ。Terran 1への需要が引き続き高いことから、民間および政府の顧客から9つの打ち上げ契約を締結まで至った。その中には、ディフェンス・イノベーション・ユニット(DIU)によって新たに発表された米国国防総省(DoD)との契約、NASAとのベンチャークラス打ち上げサービス実証2契約、イリジウムとのオンデマンド衛星打ち上げ契約などがある。

Terran Rは人類の多惑星の未来を築くという同社の使命に向けた大きな飛躍でもあり、最終的には地球、月、火星間のミッションを遂行できるポイント・ツー・ポイントの宇宙貨物船を顧客に提供することになる。

3Dプリンターは地球上の重力の38%しかない火星のように、重力が小さい環境でも技術的に実現できる。そんな3Dプリンターの可能性をさらに飛躍してくれる今回のTerran Rの開発は、今後の航空宇宙業界にとってさらなる追い風となるだろう。

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シェアラボ編集部 | + posts

3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。

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