3Dプリント技術が実現した 誰もが手に入れられるBMWカスタムバイク R nineT
フランスのカスタムバイクカンパニー「VIBA」が独バイクメーカーBMW Motorradが販売するR nineT(アールナインティ)をカスタマイズするための専用パーツを3Dプリンターで製造、「Cara」と名付けたフルカスタムマシンを発表した。
背景
ベースモデルである R nineT は、BMW Motorrad が2014年より販売開始した ボクサーツインと呼ばれる空冷式 水平対向2気筒エンジン(排気量:1,200cc)を搭載するネイキッドバイクで、オーナーの個性を存分に受け止められるカスタマイズを楽しむためのバイクとして設計された。ヨーロッパやアメリカではこの R nineT のために生み出された 加工なしで装着できるボルトオンパーツが多数登場、さらに R nineT をベースに、カスタムビルダーと呼ばれるバイクのカスタマイズアーティストが独創的な一台を手がけるなど、大きなブームを生み出している。
R nineT のオーナーが憧れるカスタムビルダーによる独創的なバイクは、その独創性ゆえにこの世に一台しか作ることができず、また好みのカスタムビルダーが遠い国に居を構えているとオーダーしたくてもできない。憧れが憧れのままというジレンマがそこには存在していたが、そんなカスタムビルダーの独創性を誰もが手に入れられるようにと、VIBA が立ち上げたのがこのプロジェクトであり、この Cara というマシンだ。
唯一無二なワンオフパーツで組み上げられた BMW R nineT “Cara”を一度バラし、完成車はもちろん各パーツごとの3D CADデータを作成して3Dプリンターでパーツ作成する。ここで生み出されたボルトオンパーツはもちろんオリジナルパーツと寸分違わぬもので、通常のパーツ製造とは違って3Dプリンターで製造されるので納品までのスピードも速い。さらにこの3D CADデータと3Dプリンターさえあれば、世界のどこにいても Cara に使われているものと同じパーツが製造可能で、Cara を再現できるのだ。
仏3Dプリントサービス企業との連携
Cara の3Dプリンティングパーツは、フランスの3Dプリントのサービスビューロー erpro group や SLM Solutions Group AG とのパートナーシップによって実現したもの。エキゾースト(マフラー)やフォークブーツなども用いられているが、数ある採用パーツのなかに含まれる3Dプリンター製パーツは、リアカウル一体型のシート、エンジンのエアインテーク、ハンドルバー、フロントフェンダー、ヘッドライトバイザーなど。
これら3Dプリンター製パーツのデータ供給源や使用している3Dプリンター機器などは発表されていない。
VIBA Motor
VIBA Motor はフランスのカスタムバイク用パーツメーカー。BMW Motorradのほか、英トライアンフ、ホンダのさまざまな車種のバイク用パーツを製造・販売している。
BMW / BMW Motorrad
ドイツのバイエルン州ミュンヘンに本社を構える自動車・バイクメーカー。 1916年にふたつの会社が合併して「Bayerische Motoren Werke」(バイエルン電動機株式会社)という会社が起源。戦前は航空機を開発・製造しており、 同社の象徴であるエンブレムのデザインは飛行機のプロペラをモチーフに、青空と雲をイメージしたブルーとホワイトが配されている。またこの配色はバイエルン州の州旗もインスパイアしたものとされる。
第二次世界大戦後、敗戦国ドイツは連合国より航空機の製造を禁止されたため、BMWはオートバイと自動車の製造に注力することに。ここから現在のBMWの発展へと繋がる事業が確立。
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