造形後に形状が変えられる3Dプリンター製自助具「くぅぽの」が販売開始
ユニチカトレーディング株式会社(大阪市中央区)が、形状変更可能な3Dプリンター製の自助具「くぅぽの」の販売を開始した。造形素材として温めると柔らかくなるものを使用し、3Dプリンターで造形した後も使用者に合わせた形状変更を可能にしている。
自助具とは身体が不自由な人が日常生活動作をより便利に、より容易にできるように工夫された道具のことをいい、くぅぽのは使用者が食事を自分で食べることをサポートする。くぅぽのは現在「グリップホルダー」「ハンドホルダー」「リストホルダー」の3種が展開されている。
(画像は自助具「くぅぽの」の1つハンドホルダー/出典:ユニチカトレーディング社)
3Dプリンター用感温性特殊フィラメント「TRF+H」をプリント素材に使用
3Dプリンターで作製される「くぅぽの」は、プリント素材として、グループ会社のユニチカ株式会社(大阪府大阪市)が開発した3Dプリンター用感温性特殊フィラメント「TRF(Thermo Reactive Filament)」の改良版である「TRF+H」が使用されている。
TRF+Hで造形したものは45℃以上に温めることで柔らかくなり、形状を変えられる。自助具は体が不自由な人が使うのものであるため、使用者ごとに適した形状である必要がある。ヘアドライヤーや温水で温めることで容易に形状変更できる「くぅぽの」は、既製品でも自助具として機能する点が特徴的だ
3Dプリンターによる造形と仕上げは就労支援施設で行い利益を還元
「くぅぽの」は、製品の企画・設計を作業療法士が監修し、使用者や介助者にとって安全で使いやすいものであることを目指している。ユニチカトレーディング社は、「くぅぽの」の3Dプリンターによる造形と仕上げを、奈良県香芝市の就労支援施設「Good Job!センター香芝」に依頼し、「くぅぽの」の使用者数に応じて仕事と対価を還元するサイクルを構築するとしている。
今後は継続的な改良を行いつつ、自助具の制作に携わっている人々との積極的な交流を図ることで、使い手にとって本当に必要な商品を提供していくことを目指す。「くぅぽの」はすでに専用のブランドサイトを開設し情報発信を行うとともに、障害のある人や介護関係者向けのネット販売も開始している。また、介護用品カタログ販売事業者との取り組みを模索し、全国のリハビリテーション施設、福祉ホーム、関連団体等に広く商品を提案する予定だ。
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