ニデックが5軸制御加工対応の金属AM加工ヘッドを開発!大型・複雑形状の造形が可能に
ニデックマシンツール株式会社が開発した金属3Dプリンター「LAMDAシリーズ」の新たな5軸制御加工ヘッドは、複雑形状や自由曲面の積層造形を容易にし、大型部品の製造や補修の生産性を大幅に向上させる。これにより、航空宇宙分野の部品や自動車ボディの金型、工業用大型刃物の製造や修理における新たな可能性が広がる。(上部画像はニデックマシンツール株式会社の発表より抜粋。出典:ニデックマシンツール株式会社)
目次
高度な5軸制御加工技術で大型・複雑形状にも対応
従来の金属3Dプリンターでは、装置のサイズや形状に制約があり、大型かつ複雑な形状の部品を精度良く造形するには限界があった。新たなLAMDAシリーズに搭載された5軸制御加工ヘッドは、テーブルを回転させることなく、任意の角度での積層造形が可能であり、従来の設計上の制約を克服した。また、ヘッドには傾斜軸(A軸)と旋回軸(C軸)が組み込まれており、-90度から+90度のA軸ストロークと、-180度から+180度のC軸ストロークを実現。これにより、自由度の高い積層造形が可能となり、部品の表面精度や複雑形状の仕上がりも向上する。
LAMDAシリーズの技術的進展:高品質と安定性を支える独自の機能
LAMDAシリーズは、高品質な加工を実現するための独自技術を多く搭載している。その代表例が「ローカルシールドノズル」で、これは溶融池の周辺に不活性ガス環境を生成することにより、酸化を抑えつつ高精度な造形を行う。また、レーザーと同軸に配置されたカメラによる「モニタリングフィードバック」機能も組み込まれており、造形プロセスをリアルタイムで監視しながら制御できる。このフィードバック機能により、金属の溶融と凝固が安定し、複雑な部品でも高い精度で造形可能となる。
生産性とコストダウンの両立を実現する新技術
LAMDAシリーズには、設計段階から生産性の向上とコスト削減が意識されている。特に、ノズル先端とワークとの接近性を改善する設計やヘッド本体の小型化により、加工スピードと応答性が向上。これにより、従来の造形プロセスと比較して製造コストの低減が期待されており、様々な産業用途でのコスト競争力が増している。
さらなる進化:AIの活用と新機種開発
ニデック社は、LAMDAシリーズのさらなる進化を目指し、AIを活用した造形状況判定機能を導入。これにより、造形プロセスの自動化が進み、最適な造形条件をリアルタイムで設定することが可能になる。また、シリーズの拡充として「LAMDA500」や大型ワークに対応する「LAMDA2000」など、新たな機種も続々と開発されており、用途に応じた製品ラインナップの多様化が図られている。
JIMTOF2024での実機展示と新たな加工法の提案
ニデック社は、東京ビッグサイトで開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)にて、LAMDA200の実機を展示する予定である。この展示では、LAMDAシリーズの新たな加工技術の実演やサンプルワークの紹介が行われ、業界関係者に向けた最新技術の提案がなされる。ニデック社の革新技術が、製造業界にもたらす変革に注目が集まることは間違いない。
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