EOS社 産業用樹脂3Dプリンター新製品 EOS P3 NEXTを発表
EOS社(ドイツ)は2024年11月19日に、ドイツ フランクフルトで開催の展示会「Formnext 2024」の開幕 にあたり、新しい産業用樹脂3Dプリンター製品 EOS P3 NEXT を発表した。これにより、樹脂AMユーザーのために新たなレベルの生産性と効率性を実現する。 (画像はEOS社プレスセンターサイト プレスリリース出典:EOS社)
EOS について
EOS(本社 ドイツ)は、産業用3Dプリンティング向けの責任ある製造ソリューションの大手サプライヤーだ。1989 年以来、樹脂・金属材料を使った3Dプリンター装置を製造販売するほかに、戦略から教育、生産まで、専門家の支援、技術、サービスを提供することによって顧客の革新と差別化を実現し、AM活用を通じた製造業の未来を切り開いてきた。
樹脂AM技術をレベルアップしたEOS P3 NEXT
樹脂用LPBF(レーザーによる粉末床焼結積層法)3Dプリンター製品であるEOS P3 NEXT は、従来機EOS P 396よりも設置面積がわずかに縮小され、設置スペースは小さいながら、造形容積は同じ(340x340x600mm)である。その他の改良点は、先進的なソフトウェアの更新とスキャニング・アルゴリズム、リコーター速度の向上、加熱の最適化、新しい周辺機器などである。詳細は以下の通り。
生産性の向上:
プレスキャン、リコーティング、クールダウンを加速する最適化されたプロセスシーケンスにより、生産性が最大50%向上。
装置稼働率の向上:
最大90%の装置稼働率により、装置、労働力、フロアスペースを効率的に使用し、優れたオペレーションを実現。
材料効率の向上:
ALM PA 950 HD ナイロン 12素材を使用した場合の粉末材料の再利用率は80%、EOS PA 2220 HighReuseを使用した場合の粉末材料の再利用率は70% 。
総所有コストの削減:
最大30%削減。
パーツ品質の向上:
柔軟なパラメータ調整機能と多様な材料により、寸法精度、表面仕上げ、機械的特性を向上。
ユーザーフレンドリーなプリントからパーツまでのワークフロー:
造形後のパーツ取り出しと粉末除去回収、仕上げ、および材料のふるい分け、混合を含む合理化された生産工程により、安全で効率的な作業を実現。
規制市場への対応:
生体適合材料、現場で実証された技術、EOS認定サービスと品質保証手順 。
次にEOSポリマー最高事業責任者 バージニア・パラシオス氏は、EOS P3 NEXTについて以下のように述べている。
当社は顧客と市場の声に耳を傾け、LPBFによる樹脂パーツ量産用の新たな市場基準となるミッドフレーム・マシンを提供しました。EOS P3 NEXTは非常に生産性の高い装置であり、EOS PA 2220 HighReuseやALM PA 950 HDのような、リフレッシュ率(再利用粉末に新粉末を混ぜる割合)を最小限に抑えた注目すべき新素材と組み合わせることで、EOS P3 NEXTは口腔デバイス、眼鏡、手術用ガイド、構造部品などに向け、これまでで最も優れた応用事例を提供します。当社の樹脂AMソリューションは、20年以上にわたって数多くの顧客に成功裏に導入されており、医療分野で確固たる実績があります。
EOS P3 NEXTプロダクトマネージャー アレクサンダー・プリルヴィッツ氏は以下のように述べている。
より速く、より効率的に、そして新素材によって実現されたEOS P3 NEXTは、金型不要のパーツ製造の新たな可能性を切り開きます。このシステムは、ユーザーに一気通貫の製造ソリューションを提供し、製造プロセスを合理化し、オペレーターにとってより使いやすいインターフェースを提供します。AMの経験に関係なく、このシステムにより産業用ポリマー3Dプリンティングが簡単に成功できます。
米国の大手産業サービス・プロバイダーであるADDMAN社は、EOS P3 NEXTを検討した最初の顧客の1社である。EOS P3 NEXTはADDMAN HEALセンターにとって、生産性の高いAM製造装置となるもので、医療パートナーが最先端のAM技術を活用して高品質で信頼性の高い医療機器を作成できるようにすることで、イノベーションを促進することを目的としている。
EOS P3 NEXTは、HEALセンターの厳しい要件を満たすのに理想的な3Dプリンティング技術です。完全に認証された生産環境の中で、規制された医療市場向けのアプリケーションを製造することができます。私たちの目標は、最高の品質とコスト効率で顧客の認定生産ニーズに一貫して応えることであり、EOS P3 NEXTはその約束を果たすのに役立つと確信しています。
ADDMAN社 シニア市場開発ディレクター ティム・ブラッシャー氏
EOS P3 NEXT市販予定
EOS P3 NEXTは 2024年12月から市販される。発売時に使用可能な材料は、EOSのPA 2200、PA 2220 HighReuse、PA 2201、PA 1101、PA 3200 GF、PA 2141 FRおよびALM PA 950 HDである。日本を含めた世界各地で、樹脂の実使用製品や部品のAM少中量生産が広まってきており、今後さらに高まる需要や要求に対してEOS P3 NEXTが応えていくことにより、新しい製品やサプライチェーン、製造ビジネスの可能性を広げていくことに期待したい。
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設計者からAMソフトウエア・装置販売ビジネスに20年以上携わった経験と人脈を基に、AMに関わるみなさんに役立つ情報とつながりをお届けしていきます。