AIが設計し、3Dプリンタが自動で造形 ― “製造のOS”を志向するトコシエ、Techstars Tokyoに採択

2025年10月7日

日本発の製造業スタートアップ「株式会社トコシエ」が、世界的アクセラレーター「Techstars Tokyo」に選出された。AIと3Dプリントを組み合わせ、設計から製造までのプロセスを自動化する挑戦が、いよいよ国際舞台へと展開する。株式会社トコシエ(東京都杉並区、以下、トコシエ)は、AIによる製造自動化プラットフォームの開発を進めるスタートアップである。同社はこのたび、内閣府・経済産業省・東京都・三井不動産などが連携して実施する「Techstars Tokyo」に採択された。本プログラムには、世界79カ国から数千社の応募の中から選ばれた12社が参加している。(上部画像はトコシエのプレスリリースより。出典:トコシエ)

製造のOSを目指す「モデリング・プロフェッショナルAI」

トコシエが開発する「モデリング・プロフェッショナルAI」は、自然言語で「こんな部品を作りたい」と入力するだけで、AIが3D CADを操作し3Dモデルを生成、そのままクラウド経由で3Dプリンタが自動造形を行うという製造エンジンである。
この仕組みにより、設計知識がなくても利用でき、スライス処理や材料選定も自動で最適化される。最短で即日、試作品が手元に届くことも可能である。従来、熟練エンジニアに依存していた「設計から試作まで」の工程を誰でも利用できる形で開放することが狙いである。

採択社とTechstars Tokyoチーム
採択社とTechstars Tokyoチーム。出典:トコシエ

Techstarsを通じた支援と今後の展望

プログラムに採択されたことで、トコシエは以下の支援を受けながら開発と事業展開を加速させる。

  • 最大12万米ドルの出資
  • 世界的メンターによる事業・技術支援
  • 海外展示会や技術連携の機会提供
  • ベンチャーキャピタルとの接続・資金調達支援

同社は2026年に米国でβ版の展開を予定しており、最終的には分散製造ネットワークとSaaSを統合した「製造業のOS」の構築を目標としている。

テキストや画像、図面をアップロードするだけで3Dデザインからパーツ納品までが可能
テキストや画像、図面をアップロードするだけで3Dデザインからパーツ納品までが可能。出典:トコシエ

「Techstars Tokyo」プログラム概要

  • 期間:2025年8月18日(月)開始、約3か月間
  • 出資額:1社あたり最大120,000米ドル
  • 会場:東京ミッドタウン八重洲「イノベーションフィールド八重洲」
  • 内容:ネットワークを活用したビジネスモデル検証・改善、ピッチトレーニング、デモデイ(11月11日予定)
  • 主催・協力:Techstars、内閣府、経産省、東京都、JETRO、三井不動産
120K USDの出資、グローバルメンターによる支援などスタートアップが必要とする様々な支援が確約される
120K USDの出資、グローバルメンターによる支援などスタートアップが必要とする様々な支援が確約される。出典:トコシエ

Techstarsとは

Techstarsは2006年に設立され、世界33都市で活動するアクセラレーターである。これまでに4400以上の企業に投資し、20社のユニコーンを輩出してきた。Pitchbookの2023年6月のデータによれば、Techstars投資企業のうち74%が3年以内に資金調達を実現し、31%がエグジットを果たしている。

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