株式会社ネクスト21の3Dプリンターを活用した次世代人工骨「CT-Bone」と、その臨床データを起点とする設計プラットフォーム「スマートボーンバンク」が骨再建医療の精度と倫理性を革新する。日本発の技術が世界の医療格差にも挑む。
目次
発表概要
CT-Boneとスマートボーンバンクは、CTデータと手術ナビゲーションから抽出される骨欠損形状に応じて人工骨を個別設計・製造するプラットフォームである。3Dプリンターで形状および内部構造まで精密に成形された人工骨は、生体内での骨置換を迅速に促す。

医療現場のナビゲーションデータを即時設計・製造につなぐ仕組みは、今後の再生医療の標準モデルとして期待される。
主な特徴と改良点
- 完全個別設計:CT画像由来データに基づく3D形状設計
- 3Dプリンター製造:Gyroid/Schwarz P構造により力学的特性と細胞親和性を両立
- 高い骨誘導性:OCP/CDHA素材により新生骨侵入を促進
- 非献体型の倫理性:宗教・文化的制約がない
高精度CAD×3Dプリンターによる即時加工で、術中調整不要・再手術リスクも低減される。
技術用語の解説
- CT-Bone:オクタカルシウムリン酸(OCP)を用いた3Dプリント人工骨。東京大学とNext21が共同開発。
- スマートボーンバンク:手術ナビゲーションデータから骨欠損を抽出し、個別人工骨設計に接続する医療連携基盤。
- 他家骨(Allograft):献体由来骨。感染・倫理的制約がある。
- 人工骨(Synthetic Graft):合成材料を基にした骨再建材料。CT-Boneはその進化形。
- 新生骨侵入:人工骨内部に新しい骨が入り込む現象。生着と置換の鍵。
性能比較またはスペック表
| 比較項目 | 従来の他家骨移植 | CT-Bone + スマートボーンバンク |
|---|---|---|
| 供給の安定性 | 献体依存で不安定 | 合成素材による安定供給 |
| 感染・倫理的懸念 | 感染・宗教文化制約あり | 合成素材により制約なし |
| 適合性 | 汎用サイズ、術中調整が必要 | CT画像由来の個別CAD設計 |
| 再生・治癒能力 | 個体差が大きく予測困難 | 高骨誘導性と治癒速度 |
上記スペックは医療現場におけるコスト、効率、安全性すべてに直結する指標といえる。
用途・展開
- 整形外科:脊椎疾患、骨腫瘍、外傷等に対応可能
- 歯科:抜歯、嚢胞摘出、骨欠損補填、サイナスリフト術
- 海外展開:アジア・中東・アフリカ等、非献体地域での導入に対応
国内外の数千万人規模の患者が適応対象とされており、とくに「骨バンク未整備国」における実用化が見込まれる。
企業情報・背景
株式会社ネクスト21は、骨再生医療分野での3Dプリンター活用を先駆けて展開する企業。東京大学との共同研究とNEDO等の公的助成により、CT-Boneとスマートボーンバンクの実用化に至った。
- 所在地:東京都文京区本郷3-38-1 本郷信徳ビル8F
- 連絡先:suzuki@next21.info
- URL:http://www.next21.info
編集部コメント
CT-BoneとSmart Bone Bank™は、設計・製造・倫理性の3要素を一体化した骨再生医療の事例である。3Dプリンターによる個別適合と合成素材による安定供給が、従来型の他家骨に代わる治療選択肢を提供している。今後の国際的な再生医療標準としての展開に注視したい。
出典・参考リンク
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。



