Airbus Defense and Spaceの人工衛星用アンテナアレイの部品作成に3D Systemsの 3Dプリンターが採用される
Airbus Defense and Space社は、3D Systems社と協業し、人工衛星「OneSat」の大型アンテナ用部品を製造した。両社は過去7年にわたり協業を続けており、商業通信衛星用で初めて3Dプリンターを用いて製造し試験された無線周波数(RF)フィルタの製造などを成功させてきた。3D systemsは、設計や製造にかかわる工程で利用されるソフトウェア製品群をもち、ノウハウも豊富。開発プロジェクトに対しても専門チームを組織してあたるなど、深くコミットしてきたという。
(画像は人工衛星「OneSat」のイメージ図 出典:Airbus Defense and Space社)
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Airbus Defense and Space社が開発する人工衛星「OneSat(ワンサット)」
Airbus Defense and Space社が開発する人工衛星「OneSat(ワンサット)」は、宇宙空間においても自由に通信地域や伝送容量を変更することができる。従来の人口衛星は、打ち上げ当初に採用した通信にしか対応できなかったが、OneSatは、打ち上げ後にもアップデートを行うことで通信プロトコル変更に対応可能だ。こうした衛星リソースを管理できる統合環境が実現されている点が高く評価され、日本でもスカパーJSAT株式会社が、日本の通信事業者として欧州に衛星をはじめて発注を行った。
Airbus Defense and Spaceと3D Systemsのこれまでの協業
3D Systems社は、OneSatの開発に参画するにあたって、材料や3Dプリント技術、ソフトウェア、アプリケーションなどからなる専門チームを結成。金属3Dプリンター「DMP Factory 500」で造形することを前提に設計段階から支援を行うことにより、同衛星の大型アンテナアレイに必要な部品の製造に貢献した。3Dプリンターを部品製造に用いることで設計の自由度が増し、軽量化や部品性能の最適化、市場投入までの時間短縮が可能になったといわれている。
製造に用いられたDMP Factory 500は、高性能なレーザー構成とソフトウェアが制御するスキャンテクノロジーによって、最大造型サイズ (500mm x 500mm x 500mm) の大型部品をシームレスに生産できる金属3Dプリンターだ。金属3Dプリント部品としての材料特性を備えつつ、優れた表面品質を保った造形を可能にしている。
また、プリンターの造形エリア内の酸素含有量を最小限に抑えるガス管理の仕組みが搭載されており、プリント、粉末の除去、リサイクル、モジュール間の移動、いずれの段階でも、粉末を常に不活性状態に保つことで粉末の劣化を防ぐ。こうした装置上の工夫により、高品質な金属部品の造形に取り組むことが可能になったようだ。
Airbus Defence and Space 社で OneSat アンテナのプログラムマネージャを務める Stephen Phipps氏は今回の協業について「OneSat は真に革新的な製品であり、当社の設計と製造プロセスには同じレベルのイノベーションを持たせたかったのです。当社は 3D Systems社と強力なパートナーシップを築いており、同社のアプリケーションエンジニアのチームが、最先端の設計を現実のものにしてくれています。3D Systems社のプリンターで製造される部品の品質の高さから、部品の適格性評価、品質管理、全体的なプロジェクト管理に至るまで、あらゆる面で Airbus Defence and Space が業界リーダーとしての地位を維持できる支えとなっています。」と述べ、3D Systems社への期待の高さを表した。
宇宙空間で使用するパーツには、高い水準が求められる。
通信衛星や航空宇宙業界では、設計の自由度や軽量化、コストダウンのために3Dプリンターの活用が進められている。日本企業では三菱電機が、特殊な紫外線硬化樹脂を用いて真空中で衛星用アンテナを3Dプリントする技術を開発し、衛星用アンテナの大型化や、アンテナ設置コストの低減を目指している。また、大手航空宇宙メーカーBoeing社も、工期短縮のために人工衛星の部品を3Dプリンターで製作することを発表している。
この2例については、ShareLabNEWSでも取り上げているので、ぜひご覧いただきたい。
三菱電機、真空中で衛星用アンテナを3Dプリントする技術を開発
Boeing、3Dプリンターを使って宇宙衛星用部品製造に乗り出す
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