米FitMyFoot社が3Dプリントカスタムフットウェアを開発
FitMyFoot社(米アリゾナ州)は、3Dプリント技術を駆使してカスタムフットウェアを製造し、快適な履き心地と個別のフィット感を実現した。同社のアプローチにより、消費者はモバイルアプリを通じて足の計測を行い、そのデータを基に個々に合わせたインソールやサンダルが提供される。この技術は、オンデマンドでの生産により、コスト削減と環境負荷の低減にも寄与している。今後、FitMyFoot社はこの技術を活用して足のウェルネス製品をさらに拡大していく計画であり、現在全米のコストコをめぐって販売を行う計画もある。(上部画像はFitMyFoot社による3Dプリントインソール。出典:FitMyFoot社)
目次
3Dプリント技術と足の健康への取り組み
FitMyFoot社のビジョンは、3Dプリント技術を活用し、各個人に最適化されたフットウェアを提供することにより、足の健康と快適さを推進することにある。同社は、バイオメカニクスと実際の足のデータポイントに基づく独自の「足の科学」を用いて、カスタマイズされたインソールとサンダルを製造している。顧客は専用のモバイルアプリを通じて足の計測を行い、そのデータは人工知能を用いて分析される。このプロセスを通じて、顧客一人ひとりに合った最適なアーチサポートを提供する製品を創出し、大量生産では達成できない個別のフィット感を実現している。
カスタムフットウェアの製造プロセス
カスタムフットウェアの製造プロセスは、FitMyFoot社のバイオメカニカルエンジニアリングチームによって分析され、各個人に最適なアーチサポートを提供するためのフットベッドが設計される。このプロセスでは、12万以上の足のデータポイントを活用する。特に、HPのマルチジェットフュージョン(MJF)技術を採用することで、精密な造形と短時間での生産を可能にしており、カスタムフットウェアの製造における新たな基準を設定している。
製品ラインナップと特徴
FitMyFoot社の製品ラインナップには、個々の足の形状に合わせたカスタマイズが反映された、インソールとサンダルが含まれている。同社のインソールは、顧客の足に合わせて最適なアーチサポートを提供することに重点を置いて設計されており、独自のフットベッド構造により、長時間の使用においても快適さを保つことができる。また、FitMyFoot社は業界初のカスタム3Dプリントフリップフロップも提供している。これらのサンダルは、従来のものにありがちな、つま先のストラップの不快感を解消し、調節可能で交換可能なクッションストラップを備えているため、最も選り好みする顧客にも満足してもらえるよう設計されている。
3Dプリントによるメリットとサステナビリティ
3Dプリント技術によるメリットは、カスタマイズ性の高さと生産の効率化で、顧客一人ひとりの足に合わせた製品を、従来の製造方法に比べて迅速かつ正確に提供することが可能となっている。また、3Dプリントはオンデマンド生産を実現し、必要な分だけを製造することで材料の無駄を削減、過剰な在庫を抱えるリスクを低減する。これは、サステナビリティ、持続可能性の観点からも大きなメリットである。生産過程で発生する廃材の量が減少し、環境への影響も軽減される。さらに、FitMyFoot社が採用するHPのマルチジェットフュージョン(MJF)技術などの先進的な3Dプリント技術は、使用する材料の選定から廃棄物の処理に至るまで、環境への配慮を重視した運用が可能となっている。このように、3Dプリント技術は、カスタム製品の高品質な提供と環境保護の両立を可能にし、新しい製造業のパラダイムを提示している。
3Dプリント技術のさらなる活用と発展
FitMyFoot社は2015年から新しいシューズ業界の未来を予感させる取り組みを行っており、様々なメディアに登場してきた。その将来展望は、3Dプリント技術のさらなる発展と、足の健康に関する製品ラインナップの拡張に向けている。現在、同社は個人の足に完全に合わせたインソールやサンダルを提供しているが、技術の進歩とともに、より多様な足の健康問題に対応する製品を開発する計画である。またオンライン販売だけではなく、全米のコストコでの販売も順次行っており身近な存在であることを演出している。
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