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ホタテの命をベンチに宿す!大阪万博で「HOTABENCH」の展示開始 ― 甲子化学工業

ホタテの廃棄貝殻から生まれたサステナブルなベンチ、HOTABENCH[ホタベンチ]

大阪府大阪市に本社を構える甲子化学工業株式会社(以下、甲子化学工業)は、ホタテの廃棄貝殻を活用したサステナブルなベンチ「HOTABENCH(ホタベンチ)」の展示を大阪・関西万博にて開始した。HOTABENCHは、約1,000枚もの廃棄ホタテ貝殻をリサイクルし、さらに3Dプリンター技術を活用して製造されたものである。これにより、CO₂排出削減と循環型社会の実現に貢献している。本プロジェクトは、清水建設株式会社(東京都中央区)および株式会社TBWA\HAKUHODO(東京都港区)との共同開発により実現されたものであり、異業種連携によるサステナブルな取り組みとしても注目されている。これまで同社は、「HOTAMET(ホタメット)」「HOTATETRAPOD(ホタテトラポッド)」「HOTASCOOP(ホタスコップ)」といったホタテ貝殻をアップサイクルしたプロダクトを開発・販売してきた。今回のHOTABENCHは、それらの取り組みの延長線上にあるものであり、万博会場での「安らぎを与えるベンチ」として来場者の目に触れることを目指している。(上部画像はホタテの廃棄貝殻から生まれたサステナブルなベンチ、HOTABENCH[ホタベンチ]出典:甲子化学工業)

特徴的な3つの要素

  1. 40kgのホタテ貝殻を使用
    ベンチ1台あたり、使用される砂の一部に相当する40kg分をホタテの廃棄貝殻で代替している。
  2. 約300kgのCO₂を削減
    全てコンクリートで製造されたベンチと比較すると、約300kgのCO₂削減が可能である。また、型枠を必要としない3Dプリント方式により、製造プロセス中の無駄な排出を抑制している。
  3. 自然の理に基づく構造デザイン
    自然界の構造を模倣する「バイオミミクリー」の発想を取り入れ、ホタテの貝殻構造を模倣した特殊なリブ構造を設計。3Dプリンターによる積層痕をそのままデザインとして活用し、意図的な加工を加えることなく自然の美しさを表現している。
HOTABENCHのGalleryより01
HOTABENCHのGalleryより01(出典:甲子化学工業)
HOTABENCHのGalleryより02
HOTABENCHのGalleryより02(出典:甲子化学工業)
HOTABENCHのGalleryより03
HOTABENCHのGalleryより03(出典:甲子化学工業)
HOTABENCHのGalleryより04
HOTABENCHのGalleryより04(出典:甲子化学工業)

開発の舞台裏を体験できるツアー

「HOTABENCH」および関連技術「SHELLTEC」の製造プロセスを体験できるツアーが、東京と大阪で開催される予定である。東京会場では清水建設のイノベーション施設「温故創新の森 NOVARE(ノヴァーレ)」において、大型3Dプリンターの操作体験を含むワークショップが行われる。大阪会場では、ホタテ貝殻を使ったものづくりを体験する機会が設けられている。これにより、参加者は単なる展示物としてではなく、アップサイクルの意義を実感することができる。

万博が育む共創のプラットフォーム「Co-Design Challenge」

HOTABENCHは、大阪・関西万博を契機とする共創プログラム「Co-Design Challenge」に採択されたプロジェクトだ。同プログラムは、日本の未来のくらしやまちの姿をテーマに、さまざまな企業・団体との共創を促すもので、これまでに第1期および第2期の採択事業者として名を連ねたのは、甲子化学工業のみである。同社の取り組みは、審査員より「事業の実現可能性と地域活性化の両立」という観点から高い評価を受けている。

地域資源とテクノロジーが拓くサステナブルな未来

HOTABENCHの取り組みは、廃棄物を資源へと転換する循環型社会の実現に向けた一例であり、今後の地方創生や持続可能なまちづくりのモデルケースとなりうる。特に、3Dプリンティング技術と自然素材の融合による製造プロセスは、CO₂削減とデザインの自由度を両立させる点で注目だ。今後は、都市公園や教育施設、観光地などでの導入が期待され、地域資源を活用したアップサイクルの波が全国に広がるだろう。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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