無印良品に「3Dプリンタ工房」開設 ― 良品計画・ファブラボ品川
無印良品を展開する株式会社良品計画とファブラボ品川が協業を開始した。2022年11月17日にオープンした関東最大級の店舗「無印良品 板橋南町22」にて、3Dプリンターで製作した製品を販売するブース「3Dプリンタ工房」を開設している。
3Dプリンタ工房とは
「3Dプリンタ工房」は、無印良品の運営会社である良品計画と、一般の人々にものづくりのスペースを提供する「ファブラボ品川」が共同運営する3Dプリントサービスだ。
東京都板橋区にある「 無印良品 板橋南町22店」内の専用ブースにて、 「上げ下げしやすいファスナーフック」「コンセントのプラグを抜きやすいツマミ」などの拡張パーツをその場で3Dプリントして販売している。
すべての人に当てはまらずとも、「コンセントのプラグを抜くのに力がいる」といったように、日常生活のなかでちょっとした困りごとを感じている人は一定数いる。3Dプリント工房でのサービスは、そのような困りごとを解消し、無印良品の製品をより快適に使用してもらうことが目的だ。
3Dプリンターを使うことで複雑な造形が可能となり、一人ひとりの手指にフィットする製品をつくることができる。
人によって使いやすいと感じる形状やサイズは異なるため、3Dプリンターを使えば「十人十色のオリジナル製品」が短時間で制作できるというわけである。
もちろん3Dプリンターにもさまざまな制限はあるものの、コンセプトの実現プロセスはこれまでよりもスムーズになるだろう。
無印良品とは
無印良品は、株式会社良品計画が運営する専門小売店だ。生活雑貨・衣類・食品など、自社開発の幅広い製品を販売している。無印良品の製品は、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」という3つの原則を基本につくられている。3つの原則を徹底することで、良質で低価格な商品を生み出すことができている。
良質で低価格な製品を通して、消費者に「ていねいな暮らし」を届けることが無印良品のコンセプトだ。
3Dプリンタ工房のサービスには、無印良品のコンセプトが反映されているのである。
また、 サステナブルな社会の実現を目指し、企業全体で製品回収・再利用の取り組みを積極的に行っているのも特徴だ。今回の3Dプリンタ工房では、拡張パーツの素材となるフィラメントを、無印良品の製品を100%再利用して製造している。
そのほかにも、「他社製品を含めたPET素材・本・CD・DVDなどの回収と再利用」「 洗剤・シャンプー・ナッツ・ドライフルーツ類の量り売り」などの取り組みを通して、サステナブルな社会の実現を目指している。
ファブラボ品川とは
ファブラボ品川は、一般の人に向けて公開されているものづくりスペースである。
レーザー加工機や3Dプリンターなどの工作機械を取り揃えており、所定の機材講習を受ければ誰でも自由に機材を使うことができる。コワーキングスペースの貸し出しだけでなく、仲間と一緒にものづくりを楽しめるワークショップや講習会も開催している。
初心者向けのワークショップやオンライン開催の講習会も数多くあり、誰でも気軽にものづくりにチャレンジできるように間口を広げている。
ちなみに、「ファブラボ」とは、個人による自由なものづくりを支援する市民工房のことを指す。
ファブラボの名称を利用するための条件を満たせば、「ファブラボ」の名称を用いたサービス提供が可能となる。
そのため、日本だけでなく、世界中にファブラボの理念に基づいた市民工房のネットワークが広がっている。
ファブラボの活動については、以下の記事も参照していただきたい。
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