ショップのファサードを3Dプリンターで製造 ― Tiffany & CO.
建設業界において、3Dプリンター技術は革新的な変化をもたらしている。特に商業建築分野では、この先進技術の活用が拡大しており、世界中で活用事例が報告されるようになってきた。今回紹介するTiffany & CO.のシンガポール、チャンギ空港にある新店舗のファサードには再生材料を活用した美しい構造物が採用されている。(上部画像はシンガポールのチャンギ空港にあるTiffany & Co.の店舗。出典:Tiffany & CO.)
サンゴ礁イメージとブランドカラーのファサードを制作
Tiffany & Co.の新店舗注目すべき点は、商業建築における建設用3Dプリンターの活用にある。この建築は、国際的な建築系設計事務所であるMVRDVチームがデザインを担当し、シンガポールのサンゴ礁とTiffany & Co.のブランドカラーであるTiffany Blueをデザインに取り入れた網目模様のファサードだ。
このスクリーンには、グラデーションカラーのスクリーンプリントガラスが使用され、ブランドの象徴であるTiffany Blueから深いブルーへと変化する色彩が展開されている。また、このグラデーションは、店舗入口やファサードの角にも適用され、立体的な効果を生み出している。
この複雑なサンゴ礁の枝を意識した模様は、MVRDVチームのデジタルデザイン部門が生成パターンをプログラムしたということだが、製造はイタリアのAectual社が担当した。同社は大型造形に対応した樹脂3Dプリンターを活用して、意匠性の高いスクリーンや家具に取り組んでいる。
サステナブルな材料リサイクルへの取り組み
昨今、ハイブランドも強く意識しているサステナビリティの観点だが、この店舗でもプラスチック製の漁網をアップサイクルする取り組みが行われている。今回制作されたスクリーンは、回収した樹脂製の漁網を含むリサイクルプラスチックを使用して製造されている。
このTiffany & Co.の新店舗は、建設用3Dプリンターを駆使した商業建築の美と革新性を示す最新の例である。デザインプロジェクトがサステナビリティとイノベーションの重要性を増している現代において、このような取り組みはますます一般的になりつつある。
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