電動バイクメーカーICOMAが手がける「タタメルバイク」が、2025年度グッドデザイン賞の特別展示「私の選んだ一品2025」に選出された。この展示は、グッドデザイン賞受賞作の中から審査委員が個人的に注目した作品を選び、コメント付きで紹介する企画である。展示は東京・丸の内の「GOOD DESIGN Marunouchi」にて、2025年10月15日から11月23日まで開催され、タタメルバイクは第3期(11月11日〜23日)に登場する予定だ。
目次
おもちゃ発想から誕生した“変形するバイク”
タタメルバイクの最大の特徴は、変形ロボット玩具から着想を得た変形構造にある。収納時はスーツケースほどのサイズに収まり、展開すればフロント10インチタイヤとサスペンションを備えた本格的な電動バイクへと変身する。見た目のユニークさだけでなく、構造としての機能性も兼ね備えている。
板金+3Dプリンターで実現した柔軟生産とカスタマイズ性
製造方法にも革新がある。板金と3Dプリンターを組み合わせた金型レスの生産方式により、少量生産やパーソナライズに適したモデルとなっている。このアプローチにより、従来のバイク製造では難しかった柔軟なデザイン変更やサイドパネルのカスタムなどが容易に実現されている。

評価の決め手は「夢しかない」デザインと開発者の物語
審査委員の一人であるクリエイティブコミュニケーター・根津孝太氏は、選出理由として「変形するバイク。この時点で夢しかない。説明もいらない」と述べ、デザインコンセプトそのものに感動した様子を語った。また、開発者が元おもちゃメーカー出身であり、変形ロボットの設計を手がけた経験を持つことにも触れ、「そのキャリアから実際に製品化までこぎつけたことが尊い」と称賛した。
都市空間での可搬性と“着せ替え”で広がる楽しさ
タタメルバイクは、持ち運びの利便性も大きな魅力である。折りたたんだ状態でハンドルを引き出せば、スーツケースのように転がして移動することができ、エレベーターや公共交通機関など、従来バイクが入りにくかった場所にもアクセスできる。さらに、取り替え可能なサイドパネルによって、その日の気分や服装に合わせて“着せ替え”を楽しむこともできる。

販売は受注生産形式、価格は49万8000円
タタメルバイクは現在、ICOMAの公式ウェブサイトにて受注生産形式で販売されている。価格は税込49万8000円。量産モデルでは実現が難しかった「個性」と「遊び心」を両立した新しい都市型モビリティとして、今後さらなる注目が集まることが期待される。
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