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ブガッティが3Dプリンターを活用した史上最速のコンセプトカーを発表

高級自動車メーカーのBugatti Automobiles SAS(以下、ブガッティ)は、新しいコンセプトのハイパーカーであるブガッティボリードのパーツを3Dプリンターで製造することを発表した。
(写真はブガッティボリード:ブガッティより引用)

今回は3Dプリンターの技術を活用して作り出した史上最速のコンセプトカーの特徴やその技術についてご紹介する。

ブガッティの3Dプリンターの活用について

自動車業界では名前が知られているブガッティだが、改めてご紹介する。
ブガッティは、イタリア出身の自動車技術者エットーレ・ブガッティにより設立された自動車会社である。創立当初は高性能スポーツカーやレースカーを製造し、現在は超高級乗用車を開発・販売している高級自動車メーカーで知られる企業である。

SlareLad編集部でも高級自動車メーカーのポルシェの3Dプリンターの活用事例をいくつかご紹介してきたが、ブガッティは自動車業界で初めて「3Dプリンターで製造したチタンパーツ」を採用してきたことで注目されている。チタンパーツは軽く強度も高いが加工が難しく、3Dプリンターでの製造は時間とコストもかかる。そのため大量生産には向いておらず、3Dプリンターにてチタン製パーツを製造するのは航空業界くらいだった。ブガティは「少量生産」「高価格帯」であり、車の最高速度は500km/hを超えるというまさに「航空機並み」ともいえるためチタン製3Dプリンターパーツの採用は納得である。

3Dプリンターが作り出すBugatti Bolideの特徴

Bugatti Bolide(ブガッティ・ボリード)とは、フランス語で火球、転じて高速で走るレーシングカーを意味する「bolide」を車名にしたブガッティ史上最速を誇るコンセプトカーである。その速さは、同社のシロン スーパースポーツ300+が記録したギネス最高速記録の490km/hを上回る最高速500km/hを超える。

通常、飛行機が離陸する時の速さは240~300km/h程度なので、ブガッティ ボリードの最高速は飛行機の離陸速度をはるかに上回ることになる。ここまでの速さを達成できた秘密は、車両デザインに施されたエアロダイナミズムにある。

ブガッティボライド
ブガッティボリードのエアロダイナミズム構造(ブガッティより引用)

骨のように複雑構造を実現

最大の特徴は、パワーウェイトレシオである。ボリードは1,240kgのボディに最高出力1850ps/最大トルク1850Nmの8.0リッターW型16気筒ユニットを搭載しており、つまり1psあたり0.67kgというF1マシン並みの数値を標榜している。

ボリードの超軽量設計のカギを握っているのは、3Dプリント技術を活用したパーツの数々。例えばサスペンションのプッシュロッドはチタン製の中空構造になっており、重量はわずか100g。内部に強度を最大限に引き上げるアーチ形状を採用し、最大3.5トンの荷重に耐えるという。プッシュロッドの壁厚ひとつとっても、受ける負荷に合わせて各部の厚みを変更するなど、人間の骨のように複雑な内部構造にすることで軽量かつ強度を保ったまま製造が可能になった。この特別な仕組みについて、同社は特許を申請している。

ブガッティボライド
ブガッティボリードのパワーウェイトレシオ(ブガッティより引用)

SLM方式により。軽量×強度を確保し重量43%カットに成功

3Dプリンターの造形方法のひとつ、SLM(Selective Laser Melting=選択的レーザー溶融法)造形方式を用いることで、中空かつ複雑な内部構造を実現した。また、3Dプリンター製の部品は、厚さが最大0.5mmと非常に薄い。それでいて高い強度も備えているという。その結果、同社シロンのブレーキキャリパーと同等の剛性を確保しながら、重量を43%削ることに成功している。

ブガッティのステファン・ヴィンケルマンCEOは、「最大出力1850psと、1240kgの重量の組み合わせにより実現したパワーウェイトレシオ0.67kg/psは、前例がない。ボリードをドライブするのは、砲弾に乗るような感覚」と語っているとのこと。

ブガッティ史上最速・最軽量! 究極のトラック専用コンセプト「ボリード」デビュー!【動画】 | 20201028_Bugatti_Bolide_33 | 3枚目の写真 (全34枚)
ブガッティボリーのコックビット。最速実現のために車高わずか995㎜だが身長2mのドライバーまで入ることができる(ブガッティより引用)

現時点で市販での展開は想定していない。あくまでも「ブガッティとして何ができるか」に挑戦したモデルであり、とくに軽量化に注力し3Dプリンターの技術を活用しわずか8か月の開発期間で実現したとのこと。今後もブガッティのさらなる進化に注目したい。

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自動車業界で活用される3Dプリンター

シェアラボ編集部

3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。

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