IHIエアロスペースがフード3Dプリンターで宇宙食を造形
航空宇宙関連企業の株式会社IHIエアロスペース(東京都江東区)が、2023年9月に東京ビッグサイトで開催された弁当・惣菜工場に関する設備機器・資機材・サービスが集まる展示会「惣菜・デリカJAPAN」に出展。フード3Dプリンターによる食品の造形デモンストレーションを十文字学園女子大学の食品開発学科と協力して行った。将来的には宇宙ステーションにおける調理器具としての利用を目指す。(上部画像は展示されたフード3Dプリンター。出典:十文字学園女子大学)
協働ロボットを活用したフード3Dプリンター
「惣菜・デリカJAPAN」におけるIHIエアロスペース社の展示スペースでは、協働ロボットのハンド部分にジェットディスペンサーを取り付けたフード3Dプリンターによる食品造形デモンストレーションが行われた。和風煮物ジュレやフルーツの盛り合わせなどのさまざまな食品が10cm角の容器上で、それぞれ10分ほど造形されたという。
IHIエアロスペース社は、食品関連企業ではなく航空宇宙を専門とする企業だ。今回のフード3Dプリンターの開発には、航空機エンジン部品の製造工程において、ロボットの先端にジェットディスペンサーを取り付けて塗装を行うノウハウが活用されているようだ。
フード3Dプリンターでは、食材をペースト状にしてカートリッジやシリンジに補填したフードインクを印刷素材とし、ペースト状にした食材をノズルから出力することで食品を積層造形していく。今回のデモンストレーションでは、フードインクの開発に力を入れている十文字学園女子大学の食品開発学科が開発に協力し、いちごやブルーベリー、レモン、生クリーム、こんにゃく、里芋、人参など16種類のフードインクが用意された。
十文字学園女子大学の食品開発学科におけるフードインク開発については、詳しい内容をShareLab NEWS上のインタビュー記事で掲載している。ぜひそちらも以下のリンクからご覧いただきたい。
今回のデモンストレーションでは、フード3Dプリンターに搭載した約70ccのシリンジに4種類のフードインクが層になっており、下から順番に吐出していくことで、さまざまなフードインクを使った造形が行われた。
協働ロボットは、ジェットディスペンサーの先端でフードインクが固まらないように適宜ふき取る動作や、シリンジ内のフードインクの種類が切り替わるタイミングでそれまでに造形した食品を固めるためにヒーターを動かして加熱するといった動作を行うなど、適切な食品造形のためのサポートを行っていた。
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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
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