サイフューズ(東京都港区)、クラレ(東京都千代田区)、ZACROS(東京都文京区)、千代田化工建設(神奈川県横浜市西区)の4社は、再生医療の産業化と社会実装を見据え、「細胞の挙動を予測するシミュレーション技術」を活用した大量培養プロセスの共同開発に乗り出した。本取り組みでは、3D培養法に注目し、実験データや流体シミュレーション(CFD)、AI解析を組み合わせて細胞の“デジタルツイン”を構築。効率的かつ高品質な細胞製造を目指す。
目次
再生医療の産業化には“培養技術の革新”が不可欠
再生医療分野における大きな課題は、臨床応用に耐えうるスケーラブルな細胞培養技術の確立にある。細胞の機能性と安全性を保持したまま、コストを抑えつつ大量生産するには、従来の手法では限界がある。これに対し、4社は3D培養を軸に据え、新たな生産体制の確立に挑む。
共同開発の核となる“デジタルツイン”技術
本プロジェクトの要は、細胞培養の状態をシミュレーション可能な「デジタルツイン」の構築にある。実際の細胞解析データ、数値流体力学(CFD)、AIによるデータ解析を融合させ、ラボスケールから商業スケールへとスムーズに移行可能な大量培養プロセスを実現する。これにより、培養条件の最適化や結果の予測が高精度で行えるようになる。
4社が持ち寄る先端技術
サイフューズは、バイオ3Dプリンティング技術をベースに、神経や血管などの再生医療製品を開発しており、今回の培養対象となるヒト細胞の提供を担う。クラレは、細胞培養用PVAマイクロキャリア「スキャポバ®」を活用し、スケールアップに必要な資材技術を支える。ZACROSは、動物細胞用の槽振とう式培養装置「Tres Cuna」を開発し、装置面からプロセスを支援。千代田化工建設は、CFD・AIによるプロセス解析および評価技術を提供し、製造全体の最適化を図る。
社会実装とグローバル展開を見据えた展望
本取り組みは、単なる技術開発にとどまらず、日本発の再生医療技術の社会実装と世界市場への展開を見据えたものでもある。産学官連携やCRDO(医薬品開発受託機関)との協業を通じて、国内外のニーズに応える製品群を育成し、新たな医療エコシステムの構築を目指す。今後も4社は協創の枠組みを活かし、次世代再生医療の礎を築いていく構えである。
サイフューズ、医療業界の関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中からピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。



