3Dプリンターでコロナ検査用の鼻腔用綿棒を共同制作―Formlabs株式会社
ShareLab編集部では、3Dプリンターの技術を用いたコロナウイルス対策を積極的に取り上げてきたが、今回は鼻腔用綿棒の生産事例に着目する。
Formlabs株式会社(以下、Formlabs)は、Form 3などの3Dプリンターを販売するアメリカの企業であり、ShareLab編集部は国内最大級3Dプリンティング&AM技術の総合展、TCT Japanの会期前にも取材をしている。今回のコロナウイルス感染拡大を受けて、同社はオハイオ州の工場にある250台の3Dプリンターを用いて、検査に使う鼻腔用綿棒の製造に乗り出すとのことなので、鼻腔用綿棒の解説から、今回のプロジェクトの背景までをお伝えする。
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そもそも、鼻腔用綿棒は誰が何のために使うのか
鼻腔とは、鼻の穴から奥にはいったスペースを指す。鼻腔用綿棒は、通常医療従事者が用い、鼻腔に入れることによって、鼻の奥に存在する粘液や気道の奥から排出される痰を検査することができる。その粘液や痰を検査することによって、現在ウイルスが体内に存在しているかどうか、を知ることができる。
普段は、インフルエンザの検査に使われている鼻腔用綿棒だが、今回のコロナウイルス感染拡大を受けその供給は不足しているのが現状だ。
鼻腔用綿棒制作の舞台裏
元のデザインを、USF (サウスフロリダ大学) Healthが行い、 Formlabsは試作品制作などを手掛けた。また今回のプロジェクトには、ニューヨーク州最大のヘルスケアプロバイダーである、Northwell Healthも絡んでおり、一プレーヤーによる生産ではないことが伺える。このように今回の鼻腔用綿棒は、大学、非営利団体、民間企業が共同で制作し、患者に鼻腔用綿棒を使用する際の安全や快適さが生み出されている。
USFのシニア・バイス・プレジデントであるチャールズ氏は、今回の取り組みに関して以下のように述べている。
「大学、医療従事者、テクノロジー業界が協力して今回の鼻腔用綿棒を作れたことは、人々の生活に良い影響を与えることができる、素晴らしい事例になるだろう。またコロナウイルス感染拡大の状況においては、わずかな遅延も許されないため、今プロジェクトに対するメンバーの迅速な行動によって、患者を検査する国の力を大きく改善できると感じている」
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マスク、フェイスシールドとその種類を問わず、個人による個人用ウイルス防護具の製作は、さまざまなメディアで触れることができるが、複数のプレーヤーが共同で制作を行っている事例はまだ少ない。今回取り上げた事例のように、3Dプリンターを通して、さまざまな企業・が繋がることによって、AM技術をより効果的に非常時対策に用いようという機運が高まるのではないだろうか。
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