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中国の3Dプリンター市場における進展!衛星、自動車、材料に向けたBLT社の取り組み

BLT社のAM技術により部品を提供した「スマートサット-X1」衛星の打ち上げ。

現在、中国では、AM技術が急速に発展しており、特に金属AM技術に関する取り組みが強化されている。中国政府は、AM技術を経済安全保障政策の重要技術と位置づけ中国、国家レベルでの支援しているため、複雑な形状や高機能な部品の製造において、AM技術の適用が増えている。そんな中、中国の3DプリンティングメーカーであるBLT社(Beijing Longyuan Technology社)は、衛星部品の製造、新エネルギー車の軽量化、材料研究など、多岐にわたる分野を積極的に取り組んでいる。(上部画像はBLT社のAM技術により部品を提供した「スマートサット-X1」衛星の打ち上げ。出典:BLT社)

衛星部品への3Dプリント技術の応用

2024年2月3日、スマートサテライト社は「スマートサット-X1」衛星を打ち上げ、中国初の民間企業としてSAR(合成アドバイザー)衛星の開発を成功させた。このプロジェクトには、金属AM技術の先駆者であるBLT社が参加し、衛星の重要な構造部品を3Dプリントで製造した。BLT社は、アルミニウム合金AlSi10Mgを使用し、1,300mm×1,126mm×335mmの大規模な衛星本体構造と、1,300mm×980mm×20mmの3つのアレイパネル構造を提供した。これは、中国で軌道上に投入された最大の3Dプリント衛星構造であり、BLT社の技術が宇宙産業において重要な役割を果たしていることを示している。

アルミニウム合金AlSi10Mgを使用した、BLT Satellite Array Panel
アルミニウム合金AlSi10Mgを使用した、BLT Satellite Array Panel(出典:BLT社)

EV車向け軽量リアサブフレームの開発

また、BLT社は、EV車向けに、軽量で高強度なリアサブフレームを開発した。この部品は双方向進化構造最適化(BESO)を活用して設計され、従来の鋳造アルミニウム設計と比較して20%の軽量化を達成。最終的な部品は厚さ2mmの中空ラティス構造であり、BLT社の大型システムBLT-S815を用いて製造された。この技術により、自動車部品の設計検証と製造がより効率的となり、自動車業界における金属3Dプリンティングの可能性が広がっている。

新エネルギー車(EV)向けに、軽量で高強度なリアサブフレーム
新エネルギー車(EV)向けに、軽量で高強度なリアサブフレーム(出典:BLT社)

新技術研究の支援

さらに、BLT社は、中国科学院金属研究所と協力し、「Nature」誌に掲載された研究で画期的な技術の開発を支援した。この研究では、3Dプリントによるチタン合金の疲労耐性を向上させる新しいプロセスが紹介されており、これにより航空宇宙産業での金属3Dプリンティングの適用範囲が大きく拡大することが期待されている。BLT社は高い安定性を誇るBLT-S320を使用して研究サンプルの製造を支援し、この新技術の実現可能性と有効性を実証している。

高い安定性を誇るBLT-S320を使用して製造された部品
高い安定性を誇るBLT-S320を使用して製造された部品(出典:BLT社)

高精度PBF-LB/M技術の開発

BLT社は、金属粉末床溶融(PBF-LB/M)技術の高精度化を追求し、表面粗さRa 2~3μm、精度0.05mm以下を達成した。この技術は医療用構造部品や自動車部品の製造など、さまざまな分野で応用されており、微細な部品の大量生産を可能にしている。

中国のAM技術の未来、BLT社の役割と展望

以上のように、中国国内のAM市場は急速に拡大しており、BLT社はその成長をリードする存在である。これまでに培った技術力を基に、さらに多様な産業分野での応用を推進。航空宇宙や自動車、医療分野において、高精度な3Dプリンティング技術は、従来の製造方法に対する新たな選択肢を提供している。今後、中国国内のみならず、グローバルな市場にも積極的に展開し、世界のAM技術の発展に寄与することを目指している。そのために、さらなる技術革新と市場ニーズに応える製品開発を継続的に行っていく方針である。

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