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3DプリンターとCO2吸収型コンクリートの融合!札幌に環境配慮型ベンチを設置 ― 鹿島建設、金沢工業大学

鹿島建設のプレスリリースより、札幌4丁目プレイス(4PLA)

鹿島建設株式会社(東京都港区、以下、鹿島建設)と金沢工業大学(石川県野々市)は、3Dプリンティング技術と環境負荷を大幅に低減する特殊コンクリート「CO2-SUICOM(シーオーツー・スイコム)」を融合した都市型ベンチを、札幌駅前通沿いに設置した。これは、2025年4月25日に先行開業した複合施設「札幌4丁目プレイス(4PLA)」の一環であり、同エリアのランドスケープに新たな価値をもたらすものとして注目を集めている。(上部画像は鹿島建設のプレスリリースより、札幌4丁目プレイス(4PLA)出典:鹿島建設)

環境配慮と先端技術の融合

今回設置されたベンチは、セメント系3Dプリンティング技術とCO₂固定型コンクリート技術の実証的な取り組みとして開発された。「CO2-SUICOM」は、鹿島建設とデンカ株式会社(東京都中央区)、日鉄エンジニアリング株式会社(東京都品川区)などが共同で開発したセメント系素材であり、硬化過程でCO₂を吸収・固定する特性を持つ。従来のコンクリートと比較してCO₂排出量を大幅に削減できる点が特徴である。
3Dプリンティングによって製造されたこのベンチは、従来の鋳型を用いた施工とは異なり、自由な形状と複雑なデザインを実現できる点が魅力である。さらに、設計段階からデジタルデータを活用することで、材料の無駄を最小限に抑えることも可能となった。
なお「CO2-SUICOM」とは、「CO2-Storage and Utilization for Infrastructure by COncrete Materials」の略称であり、コンクリートの製造過程において大量の二酸化炭素(CO₂)を強制的に吸収・固定化させることで、製造時に排出されるCO₂を実質的にゼロ以下に抑えることができる環境配慮型のコンクリートで、中国電力、鹿島建設、デンカの登録商標である。

昆布モチーフの有機的デザイン

デザインは金沢工業大学内で実施されたデザインコンペによって選出されたもので、「昆布」をモチーフとした有機的な曲線が特徴である。このデザインは、北海道の風土や文化的背景とも調和し、都市空間に自然との連続性をもたらしている。
さらにベンチには、周囲の気温に応じて色味が変化する照明機能が内蔵されており、昼夜を問わず利用者に視覚的な楽しみを提供する。これは都市空間における「体験価値」の向上を意図した仕掛けであり、単なる家具の枠を超えた存在として位置づけられる。

「3Dプリンター×CO2-SUICOM」ベンチ
「3Dプリンター×CO2-SUICOM」ベンチ(出典:鹿島、金沢工業大学)

KIT×KAJIMA 3D Printing Labの成果

このベンチの開発・製作には、「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」が重要な役割を果たしている。同ラボは、鹿島建設と金沢工業大学が共同で設立した研究・実証拠点であり、セメント系3Dプリンティング技術とCO₂固定技術を社会実装するための研究開発を進めている。
本ラボでは、材料配合、積層技術、形状最適化、構造解析、施工手法など多岐にわたるテーマで研究が進められており、今回のベンチ設置はその成果の一つである。今後も、建設業界のカーボンニュートラル化に資する先進技術の社会実装に向けた取り組みが期待される。

サステナブルな都市づくりの象徴へ

札幌4丁目プレイス全体の開発コンセプトは「Sapporo 4th place~自由な価値観・ライフスタイルを育む新しい活動の場へ~」である。本ベンチはその理念を象徴する存在であり、都市における持続可能性と創造性を融合させた事例として高く評価されるだろう。
アート性と環境性能を両立した本ベンチの存在は、札幌駅前通という都市の顔に新たな表情を与えるだけでなく、来訪者に「環境意識」と「都市美」の両立という未来的な価値観を提示するものである。

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