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ドイツ鉄道、3Dプリントでサプライチェーンの問題に対処

Deutsche-Bahn社の鉄道車両

ドイツの国有鉄道会社であるDeutsche Bahn社が、アメリカの3DプリンターメーカーのEssentium社と契約を締結、Essentium社の3Dプリントプラットフォームを用いて列車の部品やメンテナンス工具の安価で効率的な交換を狙う。(上部画像はDeutsche Bahn社の鉄道車両。出典:Deutsche Bahn社)

3Dプリント技術を活用して列車のタイムリーな改修を可能に

2023年9月20日、Deutsche Bahn社は、Essentium社の3Dプリンターシリーズ「High Speed Extrusion(HSE)」によって生産される、列車部品と工具用の材料の使用を認定したと発表している。これに先立ち、Essentium社の3Dプリンティング技術は、ドイツのノイミュンスターでテストされ、AM規格であるISO/ASTM 52920:2023とISO 52920に適合していることが証明されている。

Essentium社は、3Dプリント用の素材開発もすすめている。鉄道車両は航空宇宙作業よりもさらに厳しい難燃性要件を満たす必要がある。そのため、従来の標準的な熱可塑性プラスチックは機械的特性と難燃性が低いため、鉄道用途には使用できない。しかし、Essentium社が開発した難燃性熱可塑性プラスチックの「Essentium 9085」や「HTN-CF25」などは180℃に耐え、業界基準も満たしている。

Essentium社の3Dプリンター「HSE-280i-HT」
Essentium社の3Dプリンター「HSE-280i-HT」(出典:Essentium社)

Deutsche Bahn社はEssentium社の3Dプリンティング技術と高性能素材を用いて、原材料不足をはじめとしたサプライチェーン問題への対処を狙う。金型を必要とせずに自由な形が造形できる3Dプリントであれば、生産されなくなった部品や材料の問題に効率的に対処できる。

Essentium社3Dプリントプラットホームを使用して部品や工具の生産を開始するために、Deutsche Bahn社は現在、スペアパーツの仮想技術図面を備えたデジタル倉庫を設けている。

現在、このデジタル倉庫には1,000の部品モデルが含まれており、2030年までには1万モデルに増加する予定とのこと。Deutsche Bahn社は、このモデル・データベースに基づいて、サプライチェーンを考慮したり、部品の必要な保管場所を確保したりすることなく、予備部品をオンデマンドで必要な数だけ印刷することができる。製造時間の短縮に加え、経済的に大きなメリットが見込まれる。

Essentium社のCEOであるBlake Teipel 氏は、今回のパートナーシップ締結について次のように述べている。

「Deutsche Bahn社は、列車用の何万もの交換部品を3Dプリントしており、それが証明されています。私たちは、Deutsche Bahn社のAM能力を向上させ、修理を迅速化し、ダウンタイムを最小限に抑えて同社の資産を稼動させることを楽しみにしています。このパートナーシップは、鉄道業界や運輸業界の他の企業が後に続く道を開くでしょう」

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