YouTuber がRaspberry Piと3Dプリンター製筐体でデジカメを自作ーレンズ交換式カメラ「PIKON Camera」
名刺サイズの小型パソコンで、プログラミング開発やサーバーなどに活用されるRaspberry Piと純正カメラモジュール、3Dプリント製筐体を組み合わせたレンズ交換式カメラ「PIKON Camera」がYouTuberのKevin McAleer氏によって自作され、Raspberry Piの公式ブログで紹介された。(画像はPIKON Camera 出典:Raspberry-Pi公式ブログ)
レンズ交換式カメラ「PIKON Camera」の筐体は3Dプリント製
PIKON Cameraは、カメラモジュールとして、12.3メガピクセルの「Raspberry Pi High Quality Camera」を使用している。
このカメラモジュールにはCマウントレンズとCSマウントレンズが取り付けて使用できる。Kevin McAleer氏は16mm望遠レンズ、6mm広角レンズ、顕微鏡レンズを使用できるレンズとして動画内で紹介している。オートフォーカスやズーム機能はないので、ピント合わせは手動となる。
PIKON Cameraの筐体はクラウドベースの3D CADソフトで3Dモデルの設計が可能な「Fusion 360」でモデリングされた。筐体は3Dプリンターで製作され、内部にはRaspberry Pi 2/3/4とバッテリーを内蔵可能だ。また、背面には3.5インチディスプレイを取り付けられている。グリップ部分もあるので、頑丈で持ち運びに便利なデジタルカメラにもなる。Raspberry Pi 3/4のWi-Fi機能を利用すればウェブカメラとしても使用可能だ。
McAleer氏はプログラミング言語のPythonを用いたアプリの開発も進める予定で、Raspberry Pi 4で動画や写真の撮影と加工ができるようにPIKON Cameraの機能を拡張するつもりだ。将来的にはライブ配信用カメラとして使うことを視野に入れているとのこと。
オープンソースコミュニティとデジタルファブリケーション
今回のMcAleer氏のプロジェクトは、ソフトウェアを構成しているプログラムのソースコードが、無償で一般公開されるオープンソース形式となっている。そのため自分のPIKON Cameraを作りたい人は、STLファイルを無料でダウンロードすることで再現が可能だ。
オープンソースのPIKON Cameraは、デジタルファブリケーションと呼ばれる、デジタルデータをもとにしたものづくりの好例と言える。
ShareLabNEWSでは、過去に自宅の猫用の可動式アイアンマンヘルメットを3Dレンダリングソフトウェアで設計したデータを用いて3Dプリンターで作製した例を紹介した。
デジタルファブリケーションは、制作者がバージョンを絶えず更新できる点に大きな特徴がある。
3Dプリンターを用い、金型の作成や初期ロットといったコストの制約されにくいモノづくりを楽しんで取り組む層が成長すれば、柔軟でイノベーティブなモノづくりが製造業全体によい影響を与えてくれることもあるだろう。今後も自由な発想による3Dプリンターの活用事例に注目していきたい。
ShareLabNEWSが過去に取り上げたデジタルファブリケーションについての記事は、以下のリンクにまとめてある。そちらもぜひご覧いただきたい。
PIKON Cameraに関心がある方は、オープンな設計データを配布するコミュニティサイトに関しても興味があるだろう。2022年度版のSTLデータなどの配布サイトをまとめているので興味のある方はのぞいてみてはいかがだろうか。
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