デザインから大型3Dプリンターによる造形まで行い空間装飾の可能性を追求するプロジェクト「空間印刷所」が始動ー積彩
東京都国分寺市に本社を構える3Dプリンティング専門のデザイン事務所、株式会社積彩(以下、積彩社)と、渋谷に本社を置きサイン・ディスプレイや屋外広告などの空間装飾を手掛ける株式会社光伸プランニング(以下、光伸プランニング社)が「3Dプリントを中心とした独自の製造システムを用いて空間演出と素材の可能性を追求する」共同プロジェクト「空間印刷所」を始動させた。
欧州で3Dプリンターを用いたユニークな家具や空間装飾、什器の製作が行われているように、空間印刷所では日本的なデザインセンスを取り入れた新たな3Dプリントデザイン、製造サービスを発信する。(画像は空間印刷所による空間装飾のイメージ 出典:積彩社)
革新的なデザインと循環型ものづくりの掛け合わせ
空間印刷所では3Dプリントを活用することで、通常では製作が難しい自由なデザインや表現を行う。顧客のニーズに合わせて必要なものを必要な分だけオーダーメイドで製造し提供するスタイルだ。
3Dプリントの素材として使われた粒状のペレットや細かく砕いたプラスチックから、再び3Dプリントの素材となる細い糸状のフィラメントを製造する機械を設けており、制作の段階で出たテスト品や端材、役目を終えた造形物を回収・粉砕することで、再び造形材料としての利用が可能な体制づくりをしている。空間印刷所は3Dプリントを核とし、循環型ものづくりの確立を目指すプロジェクトとなっている。
デザインは積彩社、製造から施工を光伸プランニング社が行う
2社による共同プロジェクトの空間印刷所では、3Dプリンティングによるデザインを専門とする積彩社が設計を担当し、ディスプレイ制作を専門とする光伸プランニング社が製造から施工までを担当する。共同プロジェクトとすることで、顧客のイメージの具現化が可能な限り行える点が特徴的だ。
造形にあたって用いられる3Dプリント素材には、生分解性や耐候性などのさまざまな特性を持つ樹脂が用意されている。造形物の利用や展示を行う際の場所や目的に合わせた造形が可能で、顔料をブレンドすれば顧客の要望に沿った色にもできる。
今回の共同プロジェクト「空間印刷所」について、デザインを担当する積彩社の代表、大日方伸氏は「積彩はこれまで3Dプリンターの可能性を最大限に活かす技術開発や実践を行い、誰も見たことのないようなモノ、ないしモノのあり方を模索してきました。情報化や脱炭素化の流れでモノの存在意義が薄れつつある中、サスティナブルかつ豊かな表現を可能とする3Dプリンターを生かした空間演出を試みるこのプロジェクトを通して、モノや空間体験に驚きと感動をもたらすようなデザイン提案を行っていきたいと考えております。」とコメントしている。
製造から施工を担当する光伸プランニングの代表、原壯氏は「光伸プランニングは一人でも多くのつくりたいに応える都市型工房として、さまざまなリクエストに応えながら常に新しいモノづくりにチャレンジしてきました。4年前に全く未知の領域として始めた3Dプリントの取り組みが、積彩という才能溢れるメンバーと出会うことで進化し、新たなプロジェクトとしてスタートすることに大変ワクワクしています。空間・素材・循環をキーワードに、ディスプレイや空間演出の分野に新しい風を吹かせるべく、日々探求していきたいと考えています。」とコメントしている。
3Dプリンターは建築や再生医療などの実用的な分野で用いられることが多い。空間装飾の新たな可能性を追求する今プロジェクトは、3Dプリンター業界においても新たな風となるかもしれない。ShareLabNEWSでは引き続き、3Dプリンターの新たな可能性にも迫っていきたい。
過去に取り上げた「3Dプリンターによる装飾」をテーマとする記事を以下のリンクにまとめた。そちらもぜひご覧いただきたい。
>>「3Dプリンターによる装飾」に関するShareLab NEWSの記事はこちら
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