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3Dプリンターで作成した止血帯をウクライナ支援へ

BCN3Dはウクライナにおける人道的救済活動支援のために、止血帯300個を3Dプリンターで作成した。また、国際的な3Dプリンターメーカー各社はウクライナへの支援を表明し、ロシア国内からの撤退が相次いでいる。

BCN3Dの取り組み

スペインのバルセロナに拠点を置く3DプリンターメーカーBCN3Dは、戦闘で命の危機に晒される人々への人道支援として、3Dプリンターで作成した止血帯300個の提供を表明した。

このプロジェクトは、医療機器の需要急増を訴えるウクライナ当局の要請によってなされたものだ。止血帯はクリヴィア市とドニプロ市の2つの病院に届けられる予定となっている。

止血帯の作成に用いられたのは、BCN3Dのプリンター「BCN3D Epsilon series W50」だ。止血帯は4つのパーツから構成される。合計300組の止血帯は、わずか48時間でプリントすることができた。

3Dプリンターならではのメリットが活躍

今回の結果は、3Dプリンターを用いた製品製造の「迅速性」と「柔軟性」を如実に表している。部品の作成のために製造ラインを組み直す必要がなく、多種品目を作成できる3Dプリンターは、今回のような緊急性の高い需要拡大に対して非常に効果的に機能した。

3Dプリンターの活用が進めば、医療物資や災害支援物資など、普段はそこまで需要がない物資の在庫を抱える必要がなくなる。材料の状態で保管し、需要の拡大に応じて、都度作成すればよい。3Dプリンターの活用が進めば、今後の人道支援はより効果的かつ経済的に進められるだろう。

BCN3D製の止血帯パーツ(出典:BCN3D)

なぜ止血帯を提供したのか

2022年2月24日、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始して以来、ウクライナ国内では激しい戦闘が続いており、両軍ともに多くの死傷者が報告された。

人体は、約1Lの血液を失うと臓器の機能が低下し、大変危険な状態に陥る。傷口が小さな場合は患部を直接圧迫する方法で止血が行われるが、銃弾で打ち抜かれるなど、負傷が激しい場合は直接圧迫で止血することが難しい。こうした場合には、止血帯を用いた止血が必要になる。

この方法では、出血箇所よりも心臓に近い位置に止血帯を巻き、圧迫することで末端への血流を止める。四肢に行き渡る血流を止めてしまうため、止血した箇所から先が壊死してしまうリスクもあるが、生死に関わる場面では命を救うかもしれない重要な器具だ。

止血帯(Tourniquet)の使用方法(出典:Wikipedia)

3Dプリンターメーカー各社の対応

ロシアによるウクライナ侵攻に際しては、西側の様々な業界からロシアに対して厳しい経済制裁が課されている。海外企業では、Apple、Ford、Nike、MacDonald、日本企業では、富士通、花王、ホンダなど、多くの企業がロシアからの撤退を表明した。

3Dプリンティング業界でも、この流れは見受けられる。EOS、3D Systems、HP、Zertraxなどの3Dプリンターメーカー大手各社が、人道的理由からロシア企業への物品販売の中止を発表している。

3Dプリンターメーカー各社は、事業の撤退を表明する際に、ロシアの軍事侵攻を痛烈に批判した。ロシア政府への嫌悪感は高まるばかりだ。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関する情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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