コロナ大流行で深刻化するマスク不足!繰り返し使えるマスクを3Dプリンターで製造-イグアス株式会社
XYZプリンティングをはじめとした3Dプリンターの販売を行う株式会社イグアス(以下、イグアス)は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)(以下、コロナ) の感染拡大による深刻なマスク不足を受け、繰り返し利用可能な独自の3Dマスクを開発した。3月下旬より社内に試験的に配布しながら、社員のフィードバックを蓄積。改良を重ね、より広範な3Dマスク製作の展開を目指す考えだ。
また自社で製作したマスクの設計データ(三次元形状を表現するデータを保存するファイルフォーマットのひとつであるSTLデータ)を無償で公開し、3Dマスクの普及を働きかけていくという。
***
買いたいけど買えない―供給が追い付かないマスク
マスクの装着は、厚生労働省の新型コロナウイルス対策基本方針の「咳チケット」にも記載されている。しかし都市圏を中心に供給が需要に及ばず、入手困難な状況が続いている。コロナ感染拡大の流れは収束する気配もなく、オリンピックも延期される見込みだ。
そんな状況を受けてイグアスでは、マスクの3Dプリンターで製作出来ないか検討を行ったという。適した素材の使用が可能なこと、短時間で製作が完了することなどから、自社で製品販売を行っている3Dプリンターの可能性に着目し、開発に着手。設計から製造まで全ての工程を一貫して社内で実施することで、独自の3Dマスクを短期間で製作出来たという。
3Dプリンターで作るマスクって?
3Dマスクは3Dプリンターでマスクの形状を造形し、内側に布やガーゼなどを挟みこんで使う形状になっている。
外側の形状はスキャナー、モデリングソフトウェア、3Dプリンターを使用して製作された。3Dスキャナーで人の顔をスキャン、スキャンデータを元に顔の輪郭に合わせて3Dマスクを設計した上で試作を繰り返し、人の輪郭と顔の各パーツの形状に沿ったフィット感を実現したという。
柔軟性と耐久性のあるナイロン粉末材料を使用し、水や洗剤での洗浄も出来るので、清潔かつ繰り返しの使用が可能。また内部の素材は布、ガーゼ、紙類等、使用者がセットできる仕様となっているとのこと。
気になる装着感について、実際にマスクを装着した社員からは、
「一見堅そうに見えるが、装着したらフィット感も良く違和感なく使えた」「マスクが入手できなかったので助かった。繰り返し使える点も良い」「家族の分も欲しい」
などといった声が上がっているという。本当であれば、是非欲しい。。
今後は、子供用などバリエーションを増やしていく方針だということだ。
***
3Dプリンター関連企業によるコロナ対策
今回のイグアスの他、以前もご紹介したFLASHFROGE社の保護ゴーグルなど、コロナ対策グッズを自社の3Dプリンターで作るという動きが広がっている。
勿論、広報的な観点で行っている取り組みでもあるだろう。しかしその出発地点は、自社の技術や能力で課題解決しようという前向きな気持ちであり、実際に形ある製品に落とし込んだケイパビリティは注目に値する。
実際に製造する力を持っているからこそ、出来る取り組みには賞賛を送りたい。またこうした「ピンチをチャンスに変える取り組み」は積極的に学んでいくべきだろう。
関連記事
関連リンク
「イグアスの3Dプリンター関連ページ」はこちらから
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。