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3Dプリンターメーカー Markforged が包括的製造管理ソフト Eiger Fleet を発表

3Dプリンターメーカー Markforged(以下、マークフォージド社)は 3Dプリンターを用いた製造工程を包括的に支援するための管理ソフト Eiger Fleet を発表した。

Eiger Fleet とは

マークフォージド社は炭素繊維強化樹脂や、金属を用いた積層造形を得意とする 3Dプリンターメーカーだ。同社の所有する工業用 3Dプリンター “X7” は、さまざまな用途に用いられている。航空機の内装部品製造に X7 を利用する取り組みは、以前 ShareLab NEWS でも取り扱った。

マークフォージド社が新たに発表した 3D印刷管理用独自ソフトウェア “Eiger Fleet” は、X7 をはじめとする マークフォージド社製 3Dプリンターの運用支援を目的としている。ただし、Eager Fleet は単独で運用される 3Dプリンターを管理するためのソフトではなく、複数の 3Dプリンターや周囲の製造環境を同時並列的に管理するための API(Application Programming Interface)だ。

Eiger Fleet が有する機能を挙げると、以下の通り。

  • 3Dプリンター複数台の遠隔分散的、同時並列制御
  • ユーザー(従業員)ごとのアクセス制御
  • 作業進捗状況の定点監視・分析

マークフォージド社のウェブサイトでは、Eiger Fleet の目的を、端的に、以下のようなものだと説明している。

“Integrate buisiness and additive manufacturing.”
「ビジネスと3Dプリンティングを統合する」

“Scale smarter – faster.”
「スマートかつ素早く、大規模化を実現する」

風力タービンへの適用例

Eiger Fleet が真価を発揮するのは、個別の部品製造ではなく、複数パーツや複数工程から成る大規模製品を製造する場面だ。

VestasWind Systems は風力タービンの保守に必要な部品やツールの 3Dプリント管理に Eiger Fleet を利用する実証実験を行っている。

Vestas は、保守点検チームが部品を注文すれば、最寄りの マークフォージド 3Dプリンターですぐに部品が製造できるシステムを構築した。風力タービンのブレードを組み立てる作業においては、以前は3週間のリードタイムと数千ドルの費用がかかっていたところ、Eiger Fleet を活用することで、設計から設置までは 3日間、費用は 100ドル未満となった。

Eiger の変遷

Eiger Fleet は、Eiger というプラットフォームの中の拡張機能として位置付けられる。

Eiger は2014年に Mark One 3Dプリンターと同時にリリースされた印刷管理ソフトウェアだ。マークフォージド社はユーザーの利便性を向上させるため、Eiger の機能向上に努めてきた。

Digital Forge Platform は、2020年11月にリリースされたクラウドソフトウェアだ。これも Eiger の機能向上の一環として立ち上げられた。印刷物について収集したデータを使って「学習」することで、3Dプリンティング技術の向上を目指す。

これと関連して、Blacksmith というスキャンシステムも構築された。これは 3D印刷した物体をスキャンし、データとして取り込むためのものだ。Blacksmith でデータをスキャンし、Digital Forge Platforme上で分析、フィードバックすることで、より精度の高い3D印刷が可能になる。

これらに次いで、Eiger に追加されたのが、Enterprise Grade機能だ。これは社内の生産ワークフローや在庫を管理し、製造工程の効率化を目指す。

そして、今回新たに追加されたのが、Eiger Fleet だ。Eiger Fleet を Enterprise Grade機能と組み合わせることで、3D印刷に関する製造工程のすべてを統合的に管理することが可能となる。

Markforged の動向

“Eiger” の変遷を見ると、Markforged社が目指すのは単なる ハードウェアメーカーではないことが分かる。同社は、3D印刷に関わるあらゆるモノ、ヒト、データの流れを管理し、自社技術の向上に活かそうとしているのだ。

今回発表された “Eiger Fleet” は「同時並列的3D印刷」を可能にし、3Dプリンティングの新たな地平を開いた。マークフォージド社はさらに、AMPC(Australian Meat Processor Corporation:オーストラリアの食品加工会社)やコニカミノルタ(オフィス印刷)とともに、食品接触3D印刷サービスモデルを確立するなど、さまざまな応用展開を模索している。これは食肉加工の効率化や、自動化を目指す取り組みだ。

今後とも、マークフォージド社発の 3Dプリント技術の応用展開は広がっていくことだろう。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関する情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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