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竹中工務店と蘭スタートアップ企業MX3Dが建築物の一部を試作―建築分野のAM事例

建築分野において、3Dプリンターを活用しデザインとテクノロジーを両立している事例をご紹介する。

国内最大級の建設会社である竹中工務店は、オランダのスタートアップ企業 MX3Dとタッグを組み、大空間建築物の「接合部」を試作した。実際の建築物への適用に向けて、研究開発を進めている。
(写真は、MX3D公式Webサイトより引用)

「接合部」イメージ(MX3D公式Webサイトより引用)

WAAMを用いて製作した接合部について

金属3Dプリンターで試作した接合部の重量は約40kg、高さは約500mm。

MX3D社の3Dプリンティング技術はWAAM(Wire and Arc Additive Manufacturingの略、ワイヤとアーク溶接を用いた金属積層造形技術)と呼ばれ、金属粉末にビームを照射して固めるSLM手法と比べて材料の単価が非常に安く、印刷速度も優れるとのこと。

表面の凹凸が目立つのが難点だが、建築や土木などの大型構造物を印刷するのに向いている。

(MX3D公式Webサイトより引用)

コストを抑えつつ建物の付加価値を高める

3Dプリンター活用の効果

試作した接合部は、写真の通り、大屋根を支える集成材が4方向から取り付く複雑な形状。設計には、最適な形状をはじき出せる建築に効果的な「トポロジー最適化」(設計したい空間にどのように材料を配置すれば最適な構造となるのかを提案してくれる手法)と呼ぶ手法を用いている。

この手法自体は、有用であることはAM業界全体では既に知られていたものの、建築設計の領域ではあまり普及してこなかった。というのもトポロジー最適化の計算結果は「最適」でも、技術者からすれば手間とコストが高くつく、実現不可能な構造になってしまう場合が多いからだ。

しかし、適切な金属3Dプリンターを活用すれば、施工上の制約を取り払い、デザインや構造合理性を犠牲にせず、最適な空間を実現できるようになる可能性がある。

今回の接合部のケースは、これまで鋳鋼などを用いなければ実現できなかった複雑な形状を、金属3Dプリンターを用いることでコストを抑えつつ自由につくれるようになり、架構全体のデザインの自由度も向上し、建物の付加価値を高められることを示している。竹中工務店で研究開発を担当する木下研究主任は、3Dプリンターがデザインとテクノロジーを繋ぐ役割を果たす可能性を持つことについて以下のように触れている。

デジタルでロボティックな製造技術である3Dプリンターを活用すれば、設計をデジタル化するコンピュテーショナルデザインと、施工をデジタル化する施工BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の橋渡しができる。建築のデジタル化を推し進め、より豊かな空間を生み出したい。

竹中工務店、技術研究所先端技術研究部数理科学グループ、木下研究主任

またMX3Dの強みである、ロボットを制御するソフトウェアにも注目したい。

同社は、CADデータを読み込んで溶接のパス(溶接継ぎ手に沿って行う1回の溶接作業)を自動生成する機能などを備えた「Metal XL」と呼ぶソフトウェアを開発している。既存産業用ロボットと溶接ワイヤ、そしてこのソフトウェアを活用すれば、誰でも建物や橋を製造できるようになるというわけだ。

(MX3D公式Webサイトより引用)

3Dプリンター製接合部の実用化に向けて

竹中工務店は、3Dプリンター製接合部の実用化に向けて、基礎的な試験は実施済み。今後は、品質確保などの課題をクリアしつつ、まずは仮設構造物などを対象に適用を目指すとのこと。

MX3Dについて

建築業、重工業、海運業などにおける画期的なAM技術を開発する保有、開発するオランダのスタートアップ企業、MX3D。
オランダ・アムステルダムの中心部にある最も古く有名な運河の1つ、Oudezijds Achterburgwalに設置予定の3Dプリンター製橋「MX3D Bridge」など数々のプロジェクトを手掛けている。

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