AIで3Dモデルを作成するサービスはすでにいくつか出ているが、注目のサービスが登場した。アメリカのテック系ベンチャーキャピタルのY Combinatorが出資するadamだ。adamは画像やテキストでの指示をもとに3DCADモデルを生成するAIで作る3DCADサービス。
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adamが従来の3Dモデル生成サービスと一線を画する点は3DCADモデルネイティブである点
テキストや画像から3Dモデルを生成するサービスは今までにもMeshyやTripoSRなど様々なサービスが存在していたが、その多くは3DCGを作るためのサービスで、視覚的に美しいモデルとして出力されても、3Dプリンターで印刷できないケースが意外と多い。
印刷できない要因として
①メッシュの不整合(穴あき、自己交差、非マニホールドエッジ)などが残されている。
②非ウォータタイト(水密性不足)でモデル内部に隙間があり、スライサーが充填を判断できない。(閉じていない)
③スケールや解像度のミスマッチ
④STL/OBJにAI特有の余計なポリゴンが残る。
などの問題があり造形自体不可能であったり、きれいに造形できないことが多かった。そのためSTLファイルがダウンロードできても、BlenderやMeshmixerなどのソフトウェアで修正が必要であったり、スライサーによる修復が必要になっていた。
adamはAIが3Dモデルを寸法や形状をプログラムで表現
AdamはAIが3DCADソフトに指示を出すことで3Dモデルを生成するアプローチをとっているサービスだ。パラメトリックに寸法やフィーチャーを操作することができるので、3DCG系モデルを生成するサービスで起こりがちな造形できない問題が発生しにくく、3Dプリンターでの造形に親和性が高いサービスだといえるだろう。
実際にテトラポッドを3Dモデリング未経験者が操作して生成したところ、2分でデータが生成できた。感覚的には3DCADのオペレータと画面共有しながら作業している感覚で指示出しだけでモデル生成や修正ができる。
無料プランで触ってみた限りだが、サービスは発展途上中であるため、制限もあるようだ。ヘリカルギアの生成をシェアラボ編集部で指示したところ、当初形状を正しく生成できなかった。これは形状をAIが正しく理解できなかったのではなく、サービス提供側が、計算資源としてのトークン量に制限を設けてあることが理由だろうと思われる。
万能ではないが、可能性を感じる仕上りになっているAdam。同時期に世界展開を発表したテンセントの3DモデルLLMの3d.hunyuanglobal.comがBambulabの3Dモデル流通プラットフォームMakerWorldとのサービス連係でホビーユーザーとの連携を図っているのとは真逆に、既存の3DCADユーザーの取り組みや業務省力化を目指して取り組んでいるように見えるのが印象深い。


