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bigrepの新型3Dプリンター「VIIO(バイオ)」幅1000㎜の部品を内製できる性能に注目!

bigrep(ビッグレップ)はドイツの大型樹脂3Dプリンターの老舗ブランドだ。かなり早い段階から異色の1m角を造形できる大型造形に対応できる樹脂3Dプリンターを市場に投入し一部の先進ユーザーから熱い支持を得ていた。2025年段階で世界1200台以上の導入実績を誇り、2024年には上場を果たし2025年、満を持して新型3Dプリンターbigrep VIIOバイオ)が発売開始となった。従来の最上位機種 bigrep STUDIOと比較しても実造形時間で40%から50%以上高速化したというその実力を確かめに、長野県飯田市で稼働する実機を見学に行ってきたので報告したい。説明してくれたのはBigRepの国内総代理店を務めるサクライノベーションの久保岡真也氏だ。

bigrep VIIOは幅1000㎜のワークを内製できる樹脂3Dプリンター

1000㎜×500㎜×500㎜のワークが内製できるのが魅力のbigrep VIIO
1000㎜×500㎜×500㎜のワークが内製できるのが魅力のbigrep VIIO
bigrepVIIOと久保岡氏。大型部品を造形できるエンジニアリンググレードだ。
bigrepVIIOと久保岡氏。大型部品を造形できるエンジニアリンググレードだ。

シェアラボ編集部: 今日は大型3Dプリンターのメーカー、 bigrep 社から最新機種「VIIO(バイオ)」が発表されたということで、日本の販売代理店であるサクライノベーション株式会社の久保岡さんにお話を伺います。よろしくお願いします。

久保岡氏: よろしくお願いします。サクライノベーションで3Dプリンターのビジネスを担当しております久保岡と申します。BigRepは10年前にドイツで設立された大型のFDM方式3Dプリンターのメーカーです。特徴としては名前の通り大きなものを作ることができ、1メートル幅の大型モデルを造形できることが特徴になっています。

シェアラボ編集部: これが後ろにある「VIIO」ですね。何世代目になるのでしょうか?

久保岡氏: ラインナップとしては4機種目になります。これまでの装置と違って大きく2つのポイントがあります。一つは造形速度をはじめとした基本的な機能が大幅に向上していること、もう一つは自動化の機能が盛り込まれていることです。

bigrepの新型機VIIOの進化①高速化

bigrepVIIOは大型ワークを高速で造形するための工夫を備えている大型樹脂3Dプリンターだ。
bigrepVIIOは大型ワークを高速で造形するための工夫を備えている大型樹脂3Dプリンターだ。

シェアラボ編集部: 基本性能の向上は新機種では当然だと思いますが、どれくらい早くなっているんですか?

久保岡氏: そうですね。VIIOのワークサイズは現行機の bigrep STUDIOと同じですが、同じモデルを同じ条件で造形した場合、時間で言うと約40~50%短縮できます。例えば、今造形しているものがVIIOでは1日と10時間程度でできるのに対し、これまでの装置では2日かかっていました。

私もエンジニアも、この機種を使い始めてまだ1ヶ月ですが、驚いています。カタログスペック通りの性能が本当に出ているんです。

シェアラボ編集部: カタログスペックと実感値が一致するってすごいですね!そこまで早くなった原因は何ですか?

bigrepVIIOは分割しなくても大型ワークを一体造形可能
両手で持つような大型ワークも一体造形

シェアラボ編集部: カタログスペックと実感値が一致するってすごいですね!そこまで早くなった原因は何ですか?

久保岡氏: XYのモーターの動きがSTUDIOに比べてスムーズなものに変更されています。エクストルーダーも新しいタイプになり、フィラメントの押し出し量もSTUDIOよりも向上しています。ユニットの動きとフィラメントの押し出し、両方の面で性能が向上しています。

シェアラボ編集部: コアとなる部品が一世代上がったということですね。

bigrep VIIOの進化②自動化

シェアラボ編集部: 自動化対応というお話もありましたが、どんな点が改善されたんでしょうか?

久保岡氏: これまでの装置では、造形前にフィラメントを別のものに変えたり、ノズルを交換したりする際に、ノズルの位置や高さ、押し出し量の調整が一部必要でした。VIIOではそういった作業が造形をスタートすると自動で行われます。

また、フィラメント自体も、これまでの装置では1つのエクストルーダーに対して1セットしかセットできなかったのが、2セットずつになりました。これによりフィラメント切れが発生した際も、シームレスに次のフィラメントに移行できるようになり、自動で運用できる範囲が広がりました。ユーザーの使い勝手はかなり向上したと思います。

シェアラボ編集部: 大きいものを作るとなると材料もたくさん必要ですよね。フィラメントが切れると今までは造形が止まってしまう感じですか?

久保岡氏: はい、一時停止になり、新しいフィラメントに入れ替えて再開という形でした。bigrepは8kgリールがあるので、ほとんどの場合はそれで造形できますが、中途半端な材料を使ったり、より大きな機種で造形したりすると、8kgを超えてしまうこともあります。そういった時に役立つ機能です。

デュアルヘッド

シェアラボ編集部: この機種は以前からエクストルーダーが2機ありましたか?

久保岡氏: そうですね。以前から全機種がデュアルノズルで、モデル材はもちろん、サポート材として水溶性のものを使うことで複雑な形状も造形してサポート除去が問題なくできる機能を備えています。

シェアラボ編集部: そうすると2日を超えるような今やっているような造形とかも、材料をちゃんと予備のものもセットしておけば、材料切れで止まるということはないということですね。

久保岡氏: はい、そういうことです。

シェアラボ編集部: こういう地味なところが3Dプリンターを手でやらないといけないというのがあったところが、着実に改善されているということですね。

久保岡氏: はい。その辺が10年前に大型の装置として出た時にはかなりシンプルな機能だったんですけども、3Dプリンター業界にたくさんの卓上のプリンターでこういった機能が出ていく中で、やはり必要な機能になっているとメーカーも考え、ユーザーの使い勝手をサポートできる装置にしているのかなと思います。

bigrepは誰がどれくらい使っているの?

シェアラボ編集部: bigrepは世界で何台ぐらい出荷されているんでしょうか?

久保岡氏: すでに1,200台を超える装置が導入されています。地域的には北米とヨーロッパが比率として多いですが、アジアも徐々に台数が伸びていると聞いています。日本でもすでに二桁台数以上が稼働しています。

シェアラボ編集部: どのような業種の方が使っているのでしょうか?

大型部品の一体造形ができることが大きな魅力です(久保岡氏)
大型部品の一体造形ができることが大きな魅力です(久保岡氏)

久保岡氏: 様々ですが、特に材料の使用量の多いお客様としては自動車業界が多いです。あとは重工業など大きな部品を製造している産業、そのほかにはタイヤ製造の分野でもご利用があります。その他にも教育機関や大学などの教育機関でも採用されています。

シェアラボ編集部: ちょうど昨晩、ここ長野県飯田市では雪が降ったのでタイヤの話はタイムリーですね。タイヤの溝はノウハウの塊だと聞きますし、開発段階でいろいろな取り組みがされているんでしょうね。アカデミアは材料開発や少し変わったものを作る時などに使われることもありそうな印象です。

久保岡氏: はい、そうですね。実際にどんなものを作っているかなど詳しいお話は伺っていませんが、試作だけではなく大きな部品を製造する際の治具にも活用しているなどお話いただくことはあります。

シェアラボ編集部: 自動車は部品が大きいので、試作も治具も一発で出せる方が楽なんでしょうね。

久保岡氏: 開発品と、生産現場の治具として使われるケースが多いです。大きいものを作っていらっしゃる業界のユーザー様では、部門を問わず利用いただいている印象です。

シェアラボ編集部: このサイズの3Dプリンターはなかなか限られていると思いますので、大きなものを作れるというのはメリットですね。

分割製作から一体造形へ
分割製作から一体造形へ

久保岡氏: はい、その点はご評価いただいているポイントです。

シェアラボ編集部: 最近の傾向として、今まで分割で作っていたものを一体で作るというニーズは増えていますか?

久保岡氏: 増えていると感じています。展示会での説明時にお越しいただくお客様は、大きいものを作りたいという方が多いです。お話を聞いていると、すでに卓上の3Dプリンターを使っている方が多く、データを分割して個別に造形したものを後で貼り付ける作業をしています。そこの分割箇所に関わる部分を課題として挙げられる方々が多いです。

分割するためのすり合わせや設計変更が一体造形すれば不要になる。

シェアラボ編集部: 形状がシンプルでも分割しようとすると、それ専用の作り込みを新たにやらなければならないですから、社内工数もかかりますよね。

久保岡氏: はい。本来は不要な設計業務が追加で発生してしまいます。お客様のお話を聞いていると、設計変更が発生すると自分たちだけで解決するわけではなく、関係する次工程の方との間で分割ラインを決めたり、いくつか確認が必要になってくるとのことです。そういった調整に時間を費やすことがあるので、そのストレスをなくすためにも一体で作れるというメリットに魅力を感じる方が増えているように思います。

bigrepで造形した後の仕上げは?

シェアラボ編集部: bigrep はフィラメントが2.85㎜と太い規格ですが、造形したままポン出しで使われる方が多いのか、追加工を入れる方が多いのか、どちらの印象が強いですか?

久保岡氏:用途によると思うのですが、そのまま使われるお客様も多い印象です。ただ、開発やデザイン確認で仕上げて使われる方もいらっしゃいます。  bigrep は大きなものを一定の表面品質で作ることができる強みがあるので、このクオリティで早く安く作れるという点で問題がなければ、お客様にマッチするのかなと思っています。

シェアラボ編集部: 最近の3Dプリンターはかなり表面も整った形で出してくれますが、ユーザーさんによっては「もう少し綺麗に」とか「塗装を入れるから」といった要望もありますよね。

久保岡氏: そうですね。最終的な製品が成形品で出てくる場合はツルツルで綺麗な仕上がりになりますが、そうでなければ積層痕が出ても重要ではないケースもあります。お客様ごとに求めるレベルが違いますので、そこにニーズがマッチすれば良い選択肢になると思います。

bgirepで利用できる材料の価格帯と種類

シェアラボ編集部: 先ほど材料の価格をお聞きしましたが、1kg当たり1万円を切る材料があるということで、他の産業用3Dプリンターの材料と比べても競争力がありそうですね。ハイエンドな装置は装置の費用も高額ですが、材料の値段も高額になりがちです。本当はガシガシ使いたいのに、材料費を考えると稟議が毎回必要、、という運用になってしまう場合もあるかもしれないと考えると、試作に使う際は単価がお安い材料も選べるのはうれしいです。

久保岡氏: そうですね。やはり大きいものを作ればそれだけの材料を消費します。内製化することで安くなるとは言え、材料が高いと躊躇してしまうこともあると思います。単価を安く抑えられている材料があることと、さらに安いサードパーティ製のものも使えるというのは、お客様に受け入れられやすいようです。

シェアラボ編集部: いろいろ材料も豊富なようですが、どんな材料が人気ですか?

久保岡氏: 汎用のABS、ASAといった材料もありますが、PLAをベースにして耐衝撃性や耐熱性を強化した材料がいくつかあります。日本では柔軟性を持った「Pro HT」や、カーボン入りの「High-Temp CF」が人気です。この2つとPLAがあれば、治具にも試作にも使えます。

シェアラボ編集部: BigRepのフィラメントは2.85mmと通常より太いものを使っていたと思いますが、サードパーティ製のフィラメントも使えるのですか?

久保岡氏: はい、CURAベースの独自スライサーソフトをご用意しているので、オープン材料に対応しています。純正のbigrepフィラメント以外も自由に使うことができます。サードパーティ製の材料を使ってコストを抑えているお客様もいますし、自社のマテリアルをフィラメント化して、パラメーターも自由に設定できますので、お客様に合わせた環境、マテリアルで製作されているお客様もいます。

シェアラボ編集部: オープンフィラメントに対応していて安いものも使えるし、自社独自の材料技術を持っている会社さんは自社の材料も使えるということですね。大きいものだと市販の材料では物足りないこともあるでしょうから、その辺りは可能性がありますね。

bigrepのラインナップ

シェアラボ編集部: 気になるお値段ですが、bigrep ONEが1,000万円台だったと思いますが、VIIOはいくらぐらいですか?

久保岡氏: グレードが上がっており、2,000万円台の装置になります。

シェアラボ編集部: 競合の同クラスの産業用プリンターでこれだけの大きさを作れるものと比べると、価格競争力がある水準ですね。

久保岡氏: はい、そうですね。

シェアラボ編集部: どんどん作って現場で回したいという場合は非常に魅力的な選択肢になりそうですね。

久保岡氏: そうなってくれるといいなと思っています。これから私たちも日本での販売を本格的に開始していくので、お客様の声を聞きながらメーカーとも相談して進めていきたいと思います。

幅1000㎜の部品を一体造形できるbigrepVIIOは、為替レートの影響もあるが、約2000万円で導入できる。1m程度のワークを造形できる装置のなかでは価格競争力がある装置になっている。そして注目するべきはオープンフィラメントに対応していることによる材料の自由度と1㎏あたりの材料費の安さだ。

初期費用も運用費用も低水準に抑えながら大型造形に取り組むことができるということで、3Dプリンターで造形できるワークのサイズに物足りなさを感じていた企業にとっては、ファーストチョイスとして検討すべき一台といえるだろう。

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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