DMG MORI「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」を世界初公開！
DMG森精機株式会社（以下、DMG MORI）は、「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」をビーレフェルト（ドイツ）でのオープンハウスイベントで発表。最大325x325x400mmのビルドボリュームを持ち、複雑な形状や内部冷却チャネル、軽量構造を持つ部品の製造が可能、複数のレーザーを同時に使用することで生産性が大幅に向上し、多様な用途に対応できる。航空宇宙や医療分野でのパウダー使用が求められる用途に最適で、詳細なカメラモニタリングシステムや最適化されたガスフローにより、作業効率と安全性が向上している。（上部画像は「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」出典：DMG MORI）
目次
フローティングプロセスキャビンの特長
「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」のフローティングプロセスチャンバーは、温度変化に伴う機械内部の膨張を効果的に管理するために設計されている。プロセスチャンバーを機械本体から独立させることで、温度変化による影響を最小限に抑えていて、具体的には、光学系が剛性の高いフレームに取り付けられ、Z軸の動きが常に補正される仕組みが採用されている。光学系と粉末ベッドの距離が一定に保たれ、リコーターの動作に関連する問題が解消。さらに、温度変化による膨張がプロセスに影響を与えないように、キャビン全体が自由に膨張できる構造となっている。
rePLUGシステムによる効率的な材料管理
rePLUGシステムは、革新的な粉末管理技術であり、自動化された材料処理ユニットを提供する。使用済みの粉末を再利用するために、粉末をふるいにかけて貯蔵し、再利用の準備をする工程を全て不活性ガス環境下で行うことで、酸化や湿気の影響を最小限に抑える。異なる材料間の切り替えが簡単に行えるため、複数の材料を使用する場合でも効率的な運用が可能で、作業エリア内の部品や機構も簡単に清掃できる設計となっており、材料の変更によるダウンタイムが大幅に短縮される。
操作性と安全性、モニタリングと制御機能
操作環境であるCELOS Xは、オペレーターが必要な作業を効率的に行えるようにガイドする機能を備えている。例えば、安全ガラスの清掃や粉末の補充手順を示し、日常の点検やメンテナンスを簡便にし、粉末へのオペレーターの接触を最小限に抑える設計が施されており、安全性が高められている。また、機械内のカメラシステムにより、粉末ベッドの表面を監視し、異常が発生した際には再コーターが自動的に動作を停止する機能が追加されている。
さらに、製造プロセスの各段階を厳密にモニタリング、リアルタイムで制御する機能を備えている。例えば、各層の積層後に粉末ベッドの表面をスキャンし、異常が検出された場合には再コーターの動作を一時停止させる仕組みが導入、保護ガラスの清潔度を監視するカメラシステムも搭載されており、ガラスに汚れが発生した場合には警告を発する機能がある。オペレーターは迅速に対応できるようになっていて、CELOS Xオペレーティングシステムは、操作手順やメンテナンス作業をガイドし、製造現場での安全かつ効率的な作業を支援する。
最適化されたガスフローシステム
ガスフローシステムは、プロセス中の安定した層流を確保するために設計され、具体的には、粉末ベッド上に均一なガスフローを生成し、作業エリア内の不活性ガス環境を維持、保護ガラスの下に配置された二次ガスフローは、ガラス表面に残留物が蓄積するのを防ぐ役割を果たす。これにより、ガラスの清掃が容易になり、オペレーターの負担が軽減される。さらに、風洞のような設計により、ガスフローの性能が向上し、プロセスの安定性が高まる。
航空宇宙・医療分野への応用例
今回発表された「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」は、特に航空宇宙や医療分野での応用が期待されている。航空機のエンジン部品や機体構造部品は、軽量かつ高強度である必要があるが本機は、複雑な内部構造を持つ部品や冷却チャネルを組み込んだ部品の製造を可能にし、航空機の性能向上と燃費改善が期待できる。医療分野では、カスタムメイドのインプラントやプロテーゼの製造に利用されるが、患者ごとに異なる形状やサイズに対応するための柔軟性があり、高精度な積層造形技術が求められる。このように、「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」は、先端産業における重要な技術として注目されている。
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