製造技術のリーディングカンパニーであるPhillips Corporation(アメリカ合衆国・メリーランド州、以下、Phillips)と、レーザー金属積層造形技術を展開するMeltio(スペイン・アンダルシア州)は、防衛産業における製造の新たな進展を発表した。Phillipsは、世界で初めてMeltioの新型「Meltio Engine Blue」をHaas社製CNC工作機械に統合したパートナーとなった。この取り組みにより、加減材加工を一体化した新たなハイブリッド製造手法が実現し、防衛分野での高度な用途に対応可能な製造フローが構築された。(上部画像はMeltioの新型「Meltio Engine Blue」出典:Meltio)
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溶接用ワイヤ×レーザーDEDはCNCと融合するハイブリッド金属3Dプリント技術
Meltioの金属3Dプリント技術は、安全かつ清潔でコスト効率に優れる「溶接用ワイヤ」を使用するレーザーDED方式で構成されており、「Meltio Engine Blue」により、CNC工作機の加工機能に金属積層造形機能を融合させることで、迅速かつ柔軟にミッションクリティカルな部品の製造が可能となる。
防衛産業に向けた先進統合
Phillipsは、防衛・政府関連機関への技術提供実績を持つ企業であり、今回のMeltioとの協業強化は、同社の防衛産業に対する長年の取り組みの延長線上にある。2025年4月に米国デトロイトで開催された「RAPID TCT」にて、Haas社のCNCマシン「TM-1r」に統合された最初のMeltio Engine Blueが披露された。
このハイブリッド構成により、防衛製造業者は、より高精度な複雑部品を短納期で製造可能となり、材料ロスも削減される。これは、兵站、整備、迅速な配備が求められる環境において、極めて重要な能力である。
米国防省との実績を背景に、MeltioとPhillipsがハイブリッドCNCの実力をウェビナーで公開
本統合は、過去の協業実績を踏まえた発展である。たとえば、米海軍艦上にMeltioの金属積層装置を搭載して行った現地製造や、米国国防総省がサプライチェーンの強靭化を目的にMeltio技術を導入した事例などがある。
本成果を紹介するため、MeltioとPhillipsは、2025年6月11日17時(CET)よりウェビナーを開催した。セッションでは、Meltio Engine Blueの紹介、Haas CNCとの統合手順、ハイブリッドソリューションがもたらす精度・柔軟性・効率性の向上について解説され、最後にはライブデモとQ&Aが行われた。

ハイブリッドCNC技術が拓く次世代製造と強靭なサプライチェーンの未来
今回のMeltioとPhillipsによるハイブリッドCNC技術の統合は、防衛産業における製造の迅速化・柔軟化に大きく寄与するものだ。今後は軍需分野にとどまらず、航空宇宙、自動車、エネルギー産業などへの展開が期待される。溶接用ワイヤを活用したコスト効率の高いDED方式とCNCの融合は、金属部品の補修や現地製造を可能にし、持続可能かつ強靭なサプライチェーンの構築にも貢献するだろう。
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