オリックス・レンテック社が金属粉を使用しない安全・手軽な金属3Dプリンター「Metal X」の取り扱いを開始
東京都品川区に本社を構えるオリックス・レンテック株式会社がアメリカのMarkforged(マークフォージド)社製の金属3Dプリンター「Metal X(メタルエックス)」を活用した造形受託ならびに販売・レンタルサービスの提供を開始した。
造形受託ならびに販売・レンタルサービスの概要
オリックス・レンテック社は、法人の顧客を対象に、Metal Xを活用した試作品などの造形受託サービスと、同社の東京技術センター(東京都町田市)において技術員のサポートを受けながら造形を体験できる実機検証サービスのほか、Metal Xの販売やオペレーティングリースでの提供も開始する。
オペレーティングリースとは、設備代金からリース期間満了時点の価値を差し引いた部分のみをリース料として支払うもの。
造形受託サービスは、オリックス・レンテック社がMetal Xを用いてプリントした後に、日本3Dプリンター社にて脱脂・洗浄、ファーネス(炉)で焼結して造形する協業体制となっている。近年、ニーズが拡大する航空宇宙、自動車、電機業界などの幅広い種類の造形品の提供を通して、顧客の製造プロセスの効率化を支援するのが狙いだ。
Metal Xに採用された新技術「ADAM方式」について
Metal Xには、Markforged社が独自に開発した最新の造形技術であるADAM方式(Atomic Diffusion Additive Manufacturing:原子拡散積層造形法)が採用されている。これは、従来の熱溶解積層方式(FFF方式)と金属粉末射出成型法(メタル・インジェクション・モールド)の技術を融合させたもの。
メンテナンスや操作性をシンプルにし、ユーザーの負担を減らすことが期待される。焼結後の金属は最大密度96%を実現し、かつ滑らかな表面精度を得られるとのこと。
従来の金属3Dプリンターは高出力レーザーを使用して、粉末の金属を積層する。しかし、ADAM方式では、フィラメントと呼ばれる金属粉にワックスと樹脂を混合させて作る材料を、熱で溶かしてパーツを作成する。
造形過程で金属粉末が飛散しなくなるため、従来の金属3Dプリンターでネックとなっていた防塵・防爆などの対策は不要で、材料の交換や清掃も容易になる。造形後に別設備で脱脂(洗浄処理)、焼結を行うことで製品として完成する仕組みとなっている。
作業室への防塵・防爆処理が不要なことに加え、機器自体が安価であるためコストを抑えて導入が可能だ。ステンレス、工具鋼、インコネル、銅など造形に使用できる金属材料の種類も多く、操作が容易なことから専門の技術者でなくても取り扱える。
東京技術センター「Tokyo 3D Lab.」
2015年に同社が開設した「Tokyo 3D Lab.」では、実機の見学のほか、技術員のサポートを受けながら造形を体験実機できる検証サービスを提供。作業工数や安全性、操作に必要となる技術力などを把握したうえで、最適な3Dプリンターの導入に向けて検証できる。
ドイツ社製金属3Dプリンター「TruPrint 1000」を導入
そのセンター内には、EOS社のM290と、上記で紹介した「Metal X」、そして新たにドイツTRUMPF(トルンプ)社製の金属3Dプリンター「TruPrint 1000」を導入。
TruPrint 1000 は人間工学に基づいたコンパクトな設計で、操作はタッチパネルにより簡単かつ直感的に行うことが可能だ。
金属材料ごとに異なるパラメータ※2をユーザーが設定できるオープンパラメータ仕様になっており、多数の材料を取り扱え、マルエージング鋼をはじめ、ステンレス、ニッケル基合金、アルミニウム、チタンのほか、純銅を使用した高精度の造形が可能である。(写真は TruPrint 1000 /出典: TRUMPF )
こちらはTokyo 3D Lab.設置の金属3Dプリンター比較表(2021年11月30日現在)である。
なかなか気軽に体験できない業務用3Dプリンターを、使用用途に合わせて実機検証ができるサービスは、今後日本で業務用3Dプリンター導入が広がる重要なサポートである。
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