「ポチコン3Dフィラメントが凄い」と業界でも注目が集まる―大塚化学株式会社
2020年2月26日から28日までの3日間にわたって開催される「日本ものづくりワールド」。設計製造ソリューション展(DMS)とあわせて、第2回次世代3Dプリンタ展を見に行こうと思っていた方も多いのではないか。新型コロナ大流行のリスクを重く見て、出展を取りやめた企業も相次いでいるし、来場者も非常に少ない状況である。
だが、そんな中でも出展している企業は気合が入っていて、見ごたえがある展示が多い。シェアラボ編集部では、泣く泣く次世代3Dプリンタ展への来場を取りやめた方のために、会場での見どころを紹介していく。
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大塚化学株式会社は、清涼飲料水のポカリスエットやカロリーメイトで知られる大塚製薬のグループ会社だ。2018年末時点で、単体社員510人、単体売上約290億円を誇る同社が、射出成型用の材料開発や、中国での射出成型事業を展開している事はご存じだろうか。
今回の次世代3Dプリンタ展では、そんな同社が高剛性素材ポチコンを3Dプリンター用フィラメントとして提供できるようにしているという展示が前面に打ち出されていた。
ポチコンは、プラスチックと混ぜてペレットにしたチタン酸カリウム繊維材料
大塚化学社では、自社で研究開発したチタン酸カリウム繊維材料、TISMO(ティスモ)をプラスチックと混ぜ合わせて、ポチコン(POTICON:Potasslum Titanate Compound)という名称で提供してきた。 LED リフレクター部品やカメラモジュール部品等のミクロ補強性が求められる用途から自動車の軸受け部品等の高強度、高摺動性が求められる用途まで、さまざまな用途に用いられる熱可塑性材料だ。
ティスモは一般的なガラス繊維(GF)の数千分の1の大きさ。モース硬度は、鋳鉄と同等で、炭素繊維(CF)と同等の強度、剛性を持っているという。
繊維が小さく高い強度・剛性を持っているティスモは、超薄肉成形などを実現してきたという。
射出成形用の材料を3Dプリンター用フィラメントとして提供
摺動性にも優れているため、歯車などの用途に向いているというポチコン。そのポチコンを3Dプリンター用のフィラメントとして利用できるように提供していくという。 (大塚化学の方によると『厳密には射出成形用のポチコンと全く同じというわけではない』らしい。)
3Dプリンターは、主に試作段階で利用しているという企業は多い。本当は最終製品と同じ原材料を3Dプリンターでも使って試作をしたいという声も多い中、大塚化学社のように、射出成形用の材料を3Dプリンター用にも提供するという流れは多くの企業内3Dプリンターユーザーたちに歓迎されるはずだ。
他社のブースを回っている際に、「大塚化学見ました?」という声が聞こえてきた。業界内でも注目を集める素材のようだ。是非一度詳しい話を聞いてみてほしい。
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2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。