Prusa Researchがさまざまなブランドの3Dデータを無料公開
チェコの3DプリンターメーカーPrusa Research社が、自社コミュニティサイト「Printables.com」内でさまざまなブランドの3Dデータを公開した。3Dデータはすべて無料で提供されており、3Dプリンターがあれば誰でも簡単にダウンロードして自宅で印刷できる。(上部画像はイメージ、出典:pixabay)
企業にも消費者にもメリットがある3Dデータを無料公開
Prusa Research社は、オープンソースの3Dプリンター「Prusa i3」などを開発・販売するチェコの3Dプリンターメーカーだ。このたび、3Dデータの無料公開などをおこなっている同社のコミュニティサイト 「Printables.com」にて、Rasberry PiなどざまざまなブランドのPCパーツや洋艦などの3Dデータが無料公開された。
3Dデータの無料公開は、消費者とブランドの双方にメリットがある取組みだ。たとえば、消費者は不具合が発生したPCの交換部品を取り寄せることなく自作できるようになる。状況に応じてユーザーが自身で修理できるようになるため、ブランド側は「修理する権利(right-to-replair)」を支援しやすくなる。PCやスマートフォンといった電子機器は故障した際に、製造メーカーや特定の修理業者でしか修理できない仕組みがある。この仕組みにより「修理するよりも新しいものを購入した方がかえって安い」というケースが頻発している。アメリカやヨーロッパでは、これが独占的だとして、ユーザー自身でも修理を可能にする法整備がすすんでいる最中だ。
8つのブランドが3Dデータを公開
Prusa Research社のコミュニティサイト「Printables.com」内では、一般ユーザーとPrusa Research社に加え、新たに8つのブランドが3Dデータを公開している。ユーザー自身による部品の修理にブランド側が理解を示すことは、ユーザーへのアピールとなる。また、交換部品だけでなく自社製品のアクセサリーパーツや新製品の開発に注力できることにもつながる。加えて、交換部品のための在庫リスクも軽減できるメリットもあるだろう。
例えば、海戦ゲームを開発するWargaming社は、ゲームに登場する第一次世界大戦の巡洋艦セントルイスの詳細なモデルを公開している。全長は80cm以上となる巨大なモデルだが、サポート材なしで3Dプリンターのみで作製可能だ。大砲やクレーン、アンカー、スクリューといったパーツはすべて可動式で、全部で70以上の可動部があるという。
さまざまなジャンルのブランドが3Dデータを公開することで、自宅に3Dプリンターを設置しようというユーザーも増えるだろう。3Dプリンタ―が、家電製品のように一家に一台設置されるのが一般的になる日も来るかもしれない。
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今回取り上げたPrusa Research社の3Dプリンターは、日本で新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初、フェイスシールドの作製のために活用された事例がある。これについては過去にShareLab NEWSでも取り上げているので、ぜひ今回の記事とあわせてご覧いただきたい。
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