Stratasysと信越化学工業、高性能シリコーン材料「P3 Silicone 25A」を発売

2025年7月30日
Stratasysのプレスリリースより。

Stratasys Ltd.(イスラエル・レホボト、以下、Stratasys)は、信越化学工業株式会社(東京都千代田区、以下、信越化学工業)との戦略的な協業により開発された高性能シリコーン材料「P3 Silicone 25A」の商業販売を開始したと発表した。本材料は、StratasysのOrigin DLPプラットフォーム専用に設計されており、従来の成形シリコーンと同等の性能を有する柔軟な部品の製造を可能とする。(上部画像はStratasysのプレスリリースより。出典:Stratasys)

射出成形不要で実現する本物のシリコーン部品製造

本新素材は、産業用3Dプリンティングにおける長年の課題、すなわち射出成形に依存することなく高精度かつ高耐久、再現性を有する「本物のシリコーン」部品の製造ニーズに応えるものである。「P3 Silicone 25A」は、従来のシリコーンと同様の耐薬品性、耐熱性、機械的特性を備えながら、金型不要で短納期、かつローカライズされた少量生産を実現する。加えて、150℃の環境下で1,000時間の耐熱老化試験に合格し、生体適合性および難燃性の認証も取得している。

新素材「P3™ Silicone 25A」で造形された吸盤は、StratasysのOrigin® DLPプラットフォーム専用に設計され、信越化学との戦略的な協業によって開発された高性能材料である。
新素材「P3 Silicone 25A」で造形された吸盤。(出典:Stratasys)

成形品レベルの性能を3Dプリントで実現

製造業において、製品のカスタマイズ、在庫の最適化、市場投入までの時間短縮が求められる中、シリコーンはシール材、ガスケット、防振材、ウェアラブル機器、ソフトタッチ部品など多くの用途で不可欠な素材である。しかし、これまでの3Dプリンティング材料では、成形シリコーンの性能に匹敵するものはほとんど存在しなかった。今回発表された「P3 Silicone 25A」は、Stratasysの生産グレードDLP技術「P3」と、信越化学のシリコーン化学における専門知識を融合させ、実使用可能なシリコーン部品向けの強固なソリューションを提供する。

積層造形の常識を変える材料へ

StratasysのChief Business Unit OfficerであるRich Garrity氏は次のように述べている。

「積層造形が本格的な生産現場に普及するためには、従来工法と同等の性能を持つ専用材料が不可欠である。信越化学工業との協業により、まさにその基準を満たす製品を実現できた。P3 Silicone 25Aは、積層造形の柔軟性に、本物のシリコーンとしての信頼性を融合し、再現性のある成果と実証データに裏付けられている。」

Stratasysと信越化学工業、次世代材料展開へ始動

本製品は、Stratasysと信越化学工業が共同開発するシリコーン材料群の第一弾であり、今後は硬度の異なるバリエーションや、用途特化型の製品展開も予定されている。

信越化学工業ヨーロッパのS4営業・マーケティング部門責任者である大原 誠 氏は、以下のように語った。

「Stratasysと共に真の3Dプリンタ用シリコーンを市場に提供できることを大変嬉しく、誇りに思う。P3 Silicone 25Aは、優れた物理特性と長期信頼性に加え、非常に精密な造形性能を備えており、その組成・性能の両面で『本物のシリコーン』と呼ぶにふさわしい」

「P3 Silicone 25A」は現在、EMEA(欧州・中東・アフリカ)およびAPAC(アジア太平洋地域)で注文可能となっており、アメリカ地域では年内に発売予定である。

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