ストラタシス、最終部品のアディティブマニュファクチャリングに対応した3つの新しい3Dプリンタを発表
Stratasys Ltd.(以下、ストラタシス)は、数十億米ドルにのぼる最終部品のアディティブマニュファクチャリング(積層造形)市場に対応するため、3つの3Dプリンター「Origin One」「H350」「F770」を発表した。従来の製造方法でカバーされていない少量から中規模程度の量産アプリケーション市場へ移行を強化するとのこと。(写真はOrigin One:ストラタシスより引用)
ストラタシス・ジャパンでは、5月21日(金)に今回発表した3つの新製品に関するバーチャルイベントの開催を予定している。
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ストラタシス史上初となる光造形方式の3Dプリンター「Origin One」
ストラタシスは、2020年12月にスタートアップ企業Originを買収し、最終製造アプリケーション向けの3DプリンターStratasys Origin(R) One を発表した。
Origin社の買収統合により、Staratasysの新たなラインナップに加わったStratasys Origin One 3Dプリンターは、独自のプログラマブル光重合化(P3)テクノロジーとソフトウェアファーストアーキテクチャーを使用し、微細に作りこまれた複雑なパーツの量産規模の3Dプリンティングが可能だ。認証済みの広範なオープンサードパーティー材料でパーツを量産し、業界をリードする射出成型レベルの品質を従来の100倍以上のスピードで造形できる。クラウドコネクティビティにより、機能の向上が可能だ。一部地域での受注開始は5月初旬を予定。日本での受注開始および出荷時期については、後日改めて発表予定とのこと。
私たちは2桁ミクロンの精度を必要とする3Dプリンティング造形コネクタの厳格な精度と再現性要件を満たすことに強く注力してきました。ストラタシスとOriginは私たちの素晴らしいパートナーとして、こうした目標の達成をサポートし、数万個レベルのパーツ生産でアディティブ・マニュファクチャリングの可能性を実証してきました。今日、ストラタシスのハードウェア、ソフトウェア、材料により、私たちにとって量産が現実のものになっています。これにより、私たちがより『つながった』未来の構築に向けて取り組む中で、車載、航空宇宙から家電に至るまでの産業分野で世界をリードするOEM企業の多くにとって、TE Connectivityがより迅速でコスト効率の高いパートナーになれると確信しています。
TE Connectivity AM・エクセレンス・リーダー・グローバル・センター Mark Savage氏
3Dプリンターの最新技術「SAFテクノロジー」を採用した 「H350」
H350は、新H Seriesプロダクションプラットフォーム初の3Dプリンターである。
SAFテクノロジーを採用した量産規模向けパウダーベッドフュージョン方式3Dプリンターで、最終部品向けに生産レベルのスループットを提供。2021年初頭から、欧州、イスラエル、米国のサービスビューローや受託メーカーによりベータテストが行われ、対象アプリケーションはカバー、コネクター、ヒンジ、ケーブルホルダー、電子機器筐体、ダクトなどの最終部品だ。2021年第3四半期以降には、より広範なお客様向けの出荷が予定されている。
私たちの野心的なビジネス成長計画では、Stratasys H350の採用がその成長のカギになると考えています。私たちは大型パーツと、最大数百個の小型パーツの注文に対応してきました。私たちは量産時のパーツの一貫性から、このプリンタとSAFテクノロジーの性能に感銘を受けました。また、このプリンタの信頼性は非常に高くなっています
ドイツに本拠地を置くサービスビューローGoetz MaschinenbauのオーナーのPhilipp Goetz氏
大型造形および複数造形をより手軽に効率化した 「F770」
F770は、工業グレードのFDM方式3Dプリンターだ。
価格はオープン価格となっているが、参考価格は1000万円を下回るとしている。市場最長クラスの完全加熱ビルドチャンバー、造形サイズ1000×610×610mm対応により、大型パーツの製作に適している。また、GrabCAD Printソフトウェアはワークフローを合理化し、MTConnect標準とGrabCAD SDKによりエンタープライズコネクティビティを実現するとしている。
F770により大型パーツの内製プリンティングと、30~40%のコスト削減が可能になった。すべての市場投入期間が短縮されました。私たちの3Dプリンティング・ラボは新たな製品を6週間ごとに製造しています。迅速化できればできるほどよいのです。私たちにとってその最速の実現方法は、できる限り内製することです。F770はそのニーズに応えます。
同社コーポレート・デベロップメント・ラボ・スーパーバイザーのDoug Steindl氏
ストラタシス、AM2.0時代への移行
ストラタシスの内部推定によれば、車載、コンシューマ製品、医療、歯科、ツーリング・アプリケーションなど、Origin Oneに適した量産指向の分野で、2025年までに37億米ドルの市場機会が期待される。
ストラタシスでは、昨年売上高の25%を製造関連アプリケーションが占めた。今後ストラタシスは、3Dプリンティング・ハードウェア、ソフトウェア、材料、サービス・ソリューションの包括的で統合的なポートフォリオにより、製造関連の売上高成長率が他の分野を凌ぎ、2022年からの年間成長率が20%超に達すると予測している。
私たちはアディティブ・マニュファクチャリング2.0時代への移行を加速しています。その流れの中で、グローバルなリーディング・メーカーはプロトタイピングを超えて、3Dプリンティングが製造バリューチェーン全体にもたらす迅速性をフル活用したいと考えるようになっています。グローバルなサプライチェーンの需給の双方で私たちは現在、大きな変革を経験しており、現状維持ではうまく行かなくなっています。アディティブ・マニュファクチャリングは、企業がいつ、どこで、どのようにパーツを製造するかを決定する際に全面的な柔軟性を提供します。こうした理由から、私たちはワールドクラスのお客様に対し、ポリマー3Dプリンティング・ソリューションの包括的プロバイダであることをコミットしています
ストラタシス CEO Yoav Zeif 博士
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3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。